<ドラマアカデミー賞>監督賞は「マイファミリー」チーム 二宮和也のセリフに『主人公の成長が見えるようになりました』(平野俊一D)
2022年4~6月放送ドラマを対象に開催した第112回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞の受賞者を発表中。監督賞は、二宮和也主演「マイファミリー」(TBS系)の平野俊一D、田中健太D、宮崎陽平D、富田和成Dが受賞。誘拐事件を巡るストーリーを「巧みなカメラワークで緊張感のある展開にした」と支持されたほか、「誰もが真犯人に見え考察が楽しかった」と考察も盛り上がった。
受賞を受けて平野Dは、「主演の二宮和也さんとは、まだ嵐が結成される前の『あきまへんで!』(1998年、TBS系)以来でした。久々にご一緒したこの作品で受賞できてうれしいです」と喜びを語った。
その二宮は今作で主演男優賞を受賞。平野Dは「二宮さんは、本番に懸ける集中力が素晴らしいので、演出としてはその集中しているところを逃さず撮影することに徹していました。最初から完全に鳴沢温人としてセリフを放っていて、台本のイメージと違って驚くこともありましたが、結果的に二宮さんのやり方が一番伝わりやすいなと納得していましたね」と改めて演技を絶賛した。
特に印象に残っているというのが第3話。「誘拐されていた娘を救い出し、抱き合う妻と娘をそのまま抱き締めるところ。『みんなで帰ろう』は二宮さんから出てきた言葉です。そう言うことで、最初は自宅に帰るのを嫌がっていた父親・温人の成長が見えるようになりました」。
誘拐事件を描きながら、見せたかったのは"家族の物語"。平野Dは「クランクイン前、このドラマでは家族愛を描こうと話していたときにウクライナ侵攻が起き、戦地では家族がどういう思いでいるんだろうと考えました。日常が突然、非日常になったとき、その中で最も守らなければならないものは何か?という命題を意識しましたね」と、現実の世界情勢にも影響を受けたと明かした。
「撮影では、誘拐ものなのに犯人の口元が映らず、(ナレーターによる)機械音声のみという挑戦も。そんな工夫をしつつ、新しいジャンルとして掲げた『ノンストップファミリーエンターテインメント』を実現しようとスタッフ一同奮闘しました」という同作は、ドラマアカデミー賞で最優秀作品賞、主演男優賞、助演男優賞(濱田岳)、脚本賞(黒岩勉氏)、監督賞と5冠を達成している。
(取材・文=小田慶子)