松居大悟監督作品「手」が、ロマンポルノ50周年記念プロジェクト「ROMAN PORNO NOW」の第1弾として9月16日(金)に公開される。本作は山崎ナオコーラ氏の同名小説を原作とし、年上男性ばかりと付き合ってきた主人公・さわ子が、同年代の同僚・森と惹かれ合っていく等身大の姿を描いた作品。森を演じるのは、ドラマ「鎌倉殿の13人」での源頼家役や、「魔法のリノベ」での久保寺彰役が話題を集めている金子大地だ。金子に今作における新たな挑戦や、出演作での演技について聞いた。「自分の中にあるものを(役に)少しでも入れることで、役と自分がつながり、腑に落ちて演じることができる」と語る金子の真摯な役作りに迫る。
松居さんの作品にいつか出たいと思っていた
──今回、松居大悟監督の「手」でロマンポルノ初挑戦となりましたが、最初にこの作品の話を聞いたときはどう感じられましたか?
うれしかったです。松居さん(松居大悟監督)の作品にいつか出たいとも思っていましたし、松居さんがロマンポルノをどう描くのかも気になったので、すごく光栄な気持ちでいっぱいでした。
──ロマンポルノであるということについては?
「10分に1回性的描写がある」といったルールはありましたが、台本を読んだとき、これまで観てきた映画と大きな違いはないなと思いました。実際「手」はすべてが綺麗に撮られているので、「身を削って演じました」というような感じもなく、楽しく演じられました。
──お芝居をする上での気持ちとしても、ほかの作品と同じでしたか?
はい、一緒でした。
──金子さんは主人公・さわ子の会社の先輩・森を演じましたが、この役を演じることに対してはいかがでしたか?
いまいち森という人物が掴めなかったので、とても難しかったです。なので、自分が森に近づいたというよりは、森を近づけたという感覚でした。
──普段はもっとスッと役が掴めるものですか?
そもそも“役を掴む”という感覚自体がまだわかりきっていないのかもしれないですが、自分の中にあるものを(役に)少しでも入れることで、役と自分がつながり、腑に落ちて演じることができているのではないかなとは思っています。
──それでいうと、今回の森とご自身をつなぐヒントはどのようなところにありましたか?
人って、相手によって変わるものだと思っていて。親の前、友人の前、先輩の前、彼氏彼女の前とか。森はそういうものが特に強い人物なのかなと感じたので、意識して演じました。ただ、森は最後までずっと本当のことを言っていないんじゃないかという気もしていて。僕自身もそこはわからないまま演じたところがあるのですが、それが逆に森らしくなったのかなと思います。
さわ子と森、ふたりの姿から何か感じてもらえたら
──はじめに「松居監督の作品にいつか出たいと思っていた」とおっしゃっていましたが、松居組の現場はいかがでしたか?
いい雰囲気で、楽しく撮影できました。松居さんは準備していったものをすべて肯定して、尊重して演出してくださったので、とてもやりやすかったです。
──念願の松居監督の作品でもあり、ご自身にとっては初のロマンポルノ挑戦作となった「手」ですが、今作で得たものを挙げるとしたらどのようなことでしょうか?
松居さんとの出会いですね。僕にとってはすごく大きいことですし、またご一緒したいです。
──ちなみに、松居監督と金子さんはおふたりともサウナがお好きなんですよね? サウナの話なんかも?
そうなんです。撮影中もずっと「サウナに行こう、行こう」と言っていて、やっと行けたと思ったら、行ったところにはサウナがなかったので、2人でただお風呂に入りました(笑)。サウナもいつか行きたいです。
──では、改めて「手」という映画の見どころを教えてください。
本当にいい映画なので、気負わず、いろんな方に観てもらいたいです。森とさわ子のぎこちない雰囲気から、関係が深まっていくふたりの姿を見て、何か感じていただけたらうれしいです。松居さんの映画としても新しいものになっていると思うので、松居さんのファンの方にも楽しみにしていただきたい。あとは、とにかくたくさん観てほしいですし、いっぱい広めてほしいです。