毎日の食卓をより豊かにするレシピを、日替わりで登場する講師陣が紹介する「きょうの料理」(毎週月~木曜夜9:00-9:25)。昭和32(1957)年に番組がスタートし、今年で60周年を迎える。
同番組で、親子2代にわたって家庭料理を教えてきた土井善晴にインタビューを行い、番組の魅力やこれからの家庭料理について聞いた。
――60周年を迎えた「きょうの料理」にどのような思い出がありますか?
私は放送開始された年の2月に生まれていますから、きょうの料理と同い年なんです。
父は当時から出演している土井勝ですから、まあ父がテレビに出ているというのを物心ついた頃から見ておるんです。
今とは違って生放送で収録していたので、見ているこちらにも緊張感が伝わってくるんです。父からもよく話を聞いたものです。小学生になる頃には、大阪のスタジオによく連れて行ってもらってたんでね、スタジオの片隅に座って収録を見学することも多かったです。私はきょうの料理に育てられたように思っております。
――当時と今を比較して、教える内容に変化はありましたか?
父の時代と今では、素材と狙いが変わってきていると思います。
例えば、「切り干し大根」を作るときに、父はだしで煮てさらに油で炒めて料理をしていました。でも私は水で大根を3分で戻すし、味付けも違います。
昔は切り干し大根でご飯を食べていたので味が濃かったんですが、今は切り干し大根だけではご飯を食べようとは思わないですよね?
肉や魚などと食べるんだったら、味を重ねるよりも水で戻して食感を残した歯切れのいいものの方がサラダ感覚でたくさん食べやすいと思うんです。
昔は、よそ行きの食べ物が大切にされていて、見た目を気にしたり「煮崩れていたら恥ずかしい」などを考えたりしなければならなかったんだと思います。でも私は、煮崩れたら何が悪いんだという考えで、そういう違いがあるのかなと思いますね。
――出演した回で、心に残っている料理はどのようなものですか?
初めて出演したときですね。父のピンチヒッターで、その時は薄焼き卵を焼いたのですが、リハーサルではうまくいったのに本番では戸惑って「ほんまはもっとうまいのに!」と思ったことをよく覚えています。
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