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【漫画】心の傷に“時効”はない。いじめの現実と当事者の複雑な心境を描いた漫画に考えさせられる

2022/10/14 18:30

昔いじめていた子と偶然再会し…三浦よし木さんの『のりちゃん』が話題
昔いじめていた子と偶然再会し…三浦よし木さんの『のりちゃん』が話題 画像提供/三浦よし木さん

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、小学生の頃に“いじめっ子”だった主人公・あきが罪悪感を持ちながら大人へと成長していく中、昔いじめていたクラスメイトと偶然再会するまでを描いた作品『のりちゃん』をピックアップ。本作は作者の三浦よし木さんがWEBマガジン『AMeeT(アミート)』に描き下ろした作品であり、2022年9月23日に三浦さんが自身のTwitterに投稿したところ、5.4万以上(10月14日現在)の「いいね」が寄せられ大きな反響を呼んだ。この記事では、三浦よし木さんにインタビューを行い、創作の裏側についてを語ってもらった。

罪悪感を抱き続ける“あき”と、心に一生の傷を負う“のり子” 両者の心情に共感続出

『のりちゃん』より
『のりちゃん』より 画像提供/三浦よし木さん


厨房でアルバイトをしている大学生の高田あきは、同じくパートとして働く佐々木さんが同僚からいじめを受けている姿を目の当たりにして、過去の記憶がフラッシュバックする。小学生の頃、あき自身もクラスメイトののり子に嫌がらせをしていた“いじめっ子”だったのだ。お調子者でクラスの中心的存在だったあきは、引っ込み思案で内気なのり子の言動をたびたび馬鹿にし、悪気を感じることなく毎日を過ごしていた。しかしある日、友達と面白半分で押しかけたのり子の家で偶然のり子の祖母と会い、おやつを振る舞ってもらう。祖母の優しい笑顔と「またおいで」の言葉に、あきは罪悪感を抱くようになる。

翌日、教室でのり子に話しかけようとしたあきだが、いつものようにのり子を馬鹿にするクラスメイトに遮られて声をかけられずにいた。いじめられ、泣き出してしまうのり子を前に何もできなかったあきは、それ以降いじめに加担することをやめたものの、成長し大人になってからもずっと自責の念を持ち続けていた。

過去ののり子と目の前の佐々木さんの姿が重なって見えたあきは、意を決して同僚から佐々木さんをかばい、二人でアルバイトを辞めることに。しばらくして帰省した地元の道端で、あきは偶然のり子と遭遇する。“あれから私は変わった”と改心し、のり子に謝罪しようと声をかけるあき。しかし、そんなあきにのり子が返したのは思いもよらぬ一言だった…。

いじめっ子だったあきの罪悪感とのり子の心の傷を痛々しいほどストレートに描写した本作。Twitter上では「すごく考えさせられました」「心に刺さって抜けません」「リアリティあり過ぎて胸が痛くなるけど多くの人に読んでもらいたい」などのコメントが相次いだ。さらに、「中学の頃いじめられてた時の気持ちが蘇ってきた」「ひどい生き方してきたからあきちゃんの気持ちもすごくわかる」など、“いじめ”を実際に経験したことのある読者から共感の声も多く寄せられ、注目を集めている。

「最後の1ページのために描いた物語」 作者・三浦よし木さんが創作の裏側を語る

『のりちゃん』より
『のりちゃん』より 画像提供/三浦よし木さん


――“いじめ”を題材にした本作『のりちゃん』では、主人公・あきをはじめ、登場人物の感情あふれる表情がシーンごとに繊細に描かれていてとても印象的です。三浦よし木さんにとって作画をする際のこだわりや、意識していることはありますか?

キャラクターと同じ気持ちになるとその顔が描けるように思います。自分自身がキャラクターの思考に影響を受けてしまうこともありますが、良い顔を描けると自分をそこに置いてこれたような気持ちになります。そうなるようにいつも制作をしています。

――『のりちゃん』の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?

大人になったのり子と再会したシーンです。最後の1ページのあきを描くために描いた物語でした。

――Twitterでのアップ後、とても大きな反響があったかと思います。特に印象に残っている読者からの反響を教えてください。

自分はのりちゃんだったと言ってくださる方、あきちゃんだったと言ってくださる方、両方とも自分だと言ってくださる方もいました。誰も傷つけたことなく傷つけられたこともない人はいないのでは、というコメントもいただき、皆様の言葉に非常に色んなことを考えました。

――三浦よし木さんにとって、物語を生み出す際のテーマやきっかけとなるものはあるのでしょうか?

無かったことにしようとすること程、大事なことがあるように思います。そういう事を物語にできるようになりたいと思っています。

――三浦よし木さんは別作品『セーラー服の記憶』でも学生時代の経験をテーマにした作品を描いていらっしゃいますが、理由があれば教えてください。

学生時代の、何がなんだか分からずひたすら生きていたことについて、何が起きていたのかを今なら過去の自分に説明できるように思うことがあります。学生の方にも大人になった方にも読んでいただける漫画を描きたくて描きました。

――今後の展望や目標を教えてください。

描きたいことを一つづつ、しっかり描いて行けるように頑張ります。

――作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。

この度は漫画を読んでいただきありがとうございます。よい漫画を描けるよう頑張ります。今後ともよろしくお願いします。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

■作者Twitter:三浦よし木 [@mxnk_m]
 
■WEBマガジン「AMeeT」で『のりちゃん』を読む
■AMeeTのYouTubeチャンネルで『のりちゃん』を読む

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