国内外から注目を集める4年ぶりの連ドラ主演作
近年では、ますます演じる役の幅を広げている長澤。中でも大きな話題となったのが、2020年に公開された映画「MOTHER マザー」だ。長澤が演じたのは、その場しのぎの自堕落な生活を送るシングルマザーの秋子。暴力や言葉で息子を自分に従わせ、異常ともいえる歪んだ愛情をぶつける秋子を演じた長澤の演技は凄まじかった。
これまで演じてきた、みんなの憧れの的である瑞々しいヒロインとも、ダー子のようにコメディ色の強いキャラクターともまったく結びつかない。「これがあの長澤まさみ?」と誰もが混乱するほどの怪演で、長澤は第44回「日本アカデミー賞」の最優秀主演女優賞を受賞した。芸能界入りから21年目の出来事である。
そんな長澤が、10月24日に放送開始となる「エルピスー希望、あるいは災いー」(フジテレビ系)で約4年半ぶりとなる連ドラの主演を務める。本作は実在の複数の事件から着想を得て制作された社会派エンターテインメント。長澤演じる、スキャンダルによってエースの座から転落したアナウンサーと、バラエティ番組の若手ディレクターらが連続殺人事件の冤罪疑惑を追う中で、一度は失った自分の価値を取り戻していく姿が描かれる。
本作のスタートを記念し、「TVer」では「長澤まさみドラマ特集」が開催中だ。今回のコラムでも紹介した「コンフィデンスマンJP」のほか、「高校入試」(フジテレビ系)と「都市伝説の女」(テレビ朝日)Part1・Part2が配信されている。
10月17日からフランス・カンヌで開催される国際映像コンテンツ見本市「MIPCOM」で世界初上映されることも決定し、国内外から注目を集めるドラマ「エルピス」。これを機にどんな役柄にも全身全霊で命を宿してきた女優・長澤まさみの進化を見届けてほしい。
■文/苫とり子
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