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高野麻里佳が音楽活動で目指す、「わたしにしかできないこと」。3rdシングル『LOVE&MOON』インタビュー

2022/10/15 18:00

高野麻里佳
高野麻里佳※提供写真

「ウマ娘 プリティーダービー」のサイレンススズカ役や、2022年5月に公開された映画「ハケンアニメ!」に出演し、活躍の場を広げている声優・高野麻里佳。2021年2月にスタートした自身名義での音楽活動でも、この1年の間で1stフルアルバムのリリースに加えて、二度のワンマンライブを開催している。3枚目となるシングル「LOVE&MOON」(TVアニメ「勇者パーティーを追放されたビーストテイマー、最強種の猫耳少女と出会う」エンディングテーマ)のリリースを機に、9月に豊洲PITで行なわれた2ndライブを振り返りながら、最新楽曲のこと、表現者としての現在地について、話を聞かせてもらった。

ライブって自分のものじゃなくて、みんなのもの


――9月に豊洲PITで行なわれた2ndライブ、高野さんにとってはどんな時間でしたか。

高野:1stライブ(2022年1月、日本青年館で開催)と比べると、自発的に「あれをしたい」「こんな衣装を着たい」と考えることが多くて、手作り感あふれるステージになっていたと思います。タオルを振り回したり、みなさんと振り付けを踊ったり、会場一体になって楽しめるような、有観客ならではの楽しさが詰まったライブになっていたら嬉しいです。

――1stライブは映像を見せてもらったんですが、とてもエモーショナルというか、情熱的なパフォーマンスをする方だな、という印象がありました。1stライブでは、ご自身がどれくらいできるのか、どこまでできるのか、という部分は、手探りながらも実感できましたか。

高野:そうですね、最初から熱量を上げて挑んだ分、お客さんも同じくらいの熱量を返してくれないと寂しいなあって、ちょっと思っていて(笑)。でも、実際にお客さんの熱意を感じることができて、もっと振り付けもやっていいんだ、もうちょっとお客さんに注文しちゃってもいいんだって、徐々に感じました。わりと、アーティストとしての活動は手探りだった分、パフォーマンスでねじ伏せる、みたいなことは自信がないので、とにかくみんなと一緒に楽しいことがやりたいぞっていう熱量を持つようにしました。

――最初だし、緊張感もあったんじゃないですか。

高野:1stは緊張しかなかったですね(笑)。お客さんを見ているようで見えていない気がしていました。マスク越しで表情が見えづらかったこともあるんですけど、どこか孤独に感じてしまうような瞬間はあって。そういうときは、怖いとか寂しい、という感情に支配されてしまいそうになりますけど、ライブって自分のものじゃなくて、みんなのものだから。なので、不安な気持ちと戦ったライブだったと思います。

――ちなみに1stライブのとき、ステージに出る前はどんな気持ちだったんですか。

高野:何も食べられなかったです(笑)。両親が見に来てくれたんですけど、開演する前に母から「今までで見たことない顔してるけど大丈夫?」ってすごく心配されて。家族がわかるレベルの緊張があったんだなって思います。やっぱり、その時点では誰も「アーティスト・高野麻里佳」を知らないわけじゃないですか。スタッフさんも、わたし自身も、何が正解かわからないからこそ、正解を見せなきゃいけない不安とか、1stライブが今後の自分の道標になるんじゃないか、というプレッシャーを自分に与えてしまって、より窮屈な緊張感をまとっていたかもしれません。だから、終わった後はお客さんをちゃんと笑顔にすることができた安心感と、達成感がありました。

――先ほど「情熱的」と形容したけど、同時にすごく「一生懸命に歌う人」という印象もありました。その一生懸命で出せる力が普通は100だとしたら、高野さんの場合100以上出てる感じがするというか。ライブでステージに立っているとき、そういう感覚はありますか。

高野:そうですね、別でユニット活動をしているときに、「リハーサルで120パーセントを出さないと本番で100パーセントは出せない」と言われていたので、リハーサルから頑張る気持ちは常にあります。心の中では、本番はどうなるかわからないので、リハーサルから120でやっても本番は80になってしまうかもしれない、という恐怖はどこかにあるんですね。でも、どうせなら、リハーサルを120パーセントでやったら、本番で150パーセントくらい出したいじゃないですか。そういう気持ちで臨んでいた部分はあったかもしれません。ただ、わたしが思うアーティスト像って、どこかに余裕があったり、その人の一生懸命な姿だけじゃない部分に惹かれたりもすると思うんです。なので、ちょっと一生懸命すぎたかなっていう反省点もあります。

――そういった経験を踏まえて、豊洲での2ndライブで、自身が進化できたと感じるポイントとは?

高野:正直、進化はしていなくて、違う側面を知った、という感じですかね。1stライブでやり切ったと思っていたのは、やっぱり「一生懸命やったぞ」が強かったと思うんです。今度は、一生懸命すぎないわたし――もちろん、全力でぶつかるんだけれど、みんなの顔をしっかり見られるような自分を想像して、少し俯瞰で見られるライブを目指した部分がありました。まだ自分の楽曲に振り回されるところも多いので(笑)、完全に俯瞰で、というのはなかなか難しいですけど、一生懸命さだけとは違うところを見せられたかな、と思います。

下に続きます
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