コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、2018年から漫画家として活動しているBlandocoPaloma(ブランドコパロマ)さんの『キミの感情が見えない』にスポットを当てていく。Twitterに投稿された同作は残念ながら削除されているものの、公開後は独特な世界観が話題を呼んで約4万ものいいねを獲得した。
“人の感情が様々な動物の姿に見え、触れることもできる”という特殊能力を持つ女子生徒の「私」。彼女の手にかかれば、どれほど怒っている人でもなだめることができるのだ。しかし学校内で唯一“感情が見えない男子生徒”がいた。
ある日、彼女は思い切って男子生徒に「キミってさ まるで感情がないよね」「どうして?」と質問。すると「わざわざ俺に聞くこと?」「お前だって感情ないじゃん」と返答… 彼女と同じく彼も“感情が見える能力”を持っていたことが発覚する。
さらに彼はツライ思いをしないように感情を自分の手で殺したと明かし、そのときに気づいたら持っていたという「感情の卵」を彼女に託す。程なくして卵は孵り、“ウサギのような生き物”が誕生。順調に育っていく中で突如として“感情”は「ビィーッ」と泣き始め、何かに気づいた彼女は彼の家に向かう。そして彼にウサギを渡すと、これまでとは全く違う表情が浮かび上がる…。
特殊能力を持った者同士が出会い、ともに“感情”を巡って変化する心境が描かれている終盤は心を動かされること間違いないだろう。同作の読者からは、「気づいたら目から汗が…」「読後感が半端なく良い! 文句なしの神作」など好評の声が多数寄せられていた。
“感情が見える男女”という不思議な設定の同作だが、一体どのようなキッカケで誕生したのか? 作者に創作の背景やこだわり、さらに“感情”についてたずねてみた。
――『キミの感情が見えない』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
当時は学生だったので、学校の課題で漫画を描くことになっていて、そのテーマをどうしようかと悩んでいました。それで、尊敬している作家先生が「他人の心の声が聞こえる」という漫画を描いていたので、自分も同じテーマで描いてみたいと思ったのがきっかけです。「聞こえる」ではなく「見える」だったらどんな感じかな、と思ってこのような形になりました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
こだわった点としては、Twitterに載せることを前提にしていたので、最初の4ページで読者を引き込むことを意識しました。短い話を描くのが苦手なので、その代わりにいかに「続きが読みたい」と思わせるか、ということに注力しています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由とともにお教えください。
男の子が感情について語っているところは全部好きなのですが、感情を「いらない、こんなもの」と言っているシーンは特に好きです。魂の叫びという感じがして。それまでは感情が無い状態なので、ここが初めて感情的に振る舞うシーンなんですよね。男の子が今までどれだけ辛い思いをしてきたのか… それがこのシーンで伝わっているといいなと思います。
――ズバリ“感情”を説明するなら、どういったものだとお考えですか?
すごく真面目に答えてしまうのですが、感情は「尊厳」であると思っています。この作品の男の子のように、感情を殺すような状態に追い詰められるというのは尊厳を奪われていることと同義ですから。男の子が、人の感情を操ることを「冒涜的」だと言ったのも、それが侵してはならない聖域・尊厳そのものであると意識してのことだったかもしれません。
――今後の展望や目標をお教えください。
自分の描きたいものを描いて、それで周りの人も幸せになってくれたら嬉しい… という気持ちで漫画を描いているので、今後もそれを継続していきたいです。自分の作品が多くの人の目に触れて、多くの人の琴線に触れて、多くの人が幸せになってくれたらいいな… と思っているので、より多くの人に作品を見てもらえるように頑張ります。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも作品を見てくれてありがとうございます。作品への感想、いいね&リツイート、書籍の購入、FANBOXでのご支援など、どれもこれもありがたくて、いつもいつも感謝でいっぱいです。みなさんの感情を揺さぶるような作品をたくさん描いていくので、これからも応援していてくださると嬉しいです。
BlandocoPalomaさんは現在、FANBOXなどで作品を掲載中。独特のタッチで描かれる不思議な世界観を、ぜひ楽しんでほしい。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)