7年ぶりにテレビ番組を見るというライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は、「サウナを愛でたい」(毎週月曜夜10:30-10:54、BS朝日)をチョイス。
サウナを体験した気になれる番組「サウナを愛でたい」
ここ数年、爆発的にサウナが流行っている。私は衛生的な面で銭湯なんかが軒並みムリという理由に加え、他人の全裸を絶対に見たくないという強い意志があるので、おそらくサウナを体験しないまま死んでいくのだろうけども、やはり、それなりに憧れがある。単純に、肉体を熱して水風呂へ入るのは、どう考えたって気持ちがよかろう。他人の全裸さえ見なくてよければ、私だって体験することができるというのに…。
ということで、少しでも体験した気になってやろう、と再生した「サウナを愛でたい」は非常にシンプルな構成の番組で、本当のことを言うとサウナには実際そこまで興味がない自分でも、とても面白く見ることができた。久しぶりに見たヒャダインは変わらずヒャダインであったし、当たり前のように登場するレジェンドサウナー・濡れ頭巾ちゃんという男性もサウナ好きの間では知られた存在なのだろう、そして進行役を務める壇蜜による、時々小声になるナレーションも新鮮で良い。
ふたりの訪れるサウナは青森県、十和田湖のほとりにある「十和田サウナ」。透き通るような湖のそばにポツンとサウナがあり、湖自体が水風呂としての役割を果たす。これはいくらなんでもうらやましい。湖から出たあとは、木製のリクライニングチェアで湖を眺めながらととのっていく。演者ふたりのリアクションも非常にリラックスしたもので、まるでこちらにも自然の静寂が聞こえてきそうな落ち着きがある。湖を眺めながらととのうヒャダインの指にトンボが止まるというような祝福まで用意され、20分番組としてはまったく大満足の内容であった。テレビの撮影中にトンボが指に止まるなんて、”持っている”としか言いようがない。
ところで、演者のふたりはテレビ撮影だということで水着を着用しているのだが、これ、一般のサウナや銭湯でも認めてもらえないものだろうか。自分のを見られるのはまだしも、人の全裸って本当に見たくないのである。サウナでととのえるというのも才能で、私がサウナに行ったところで、周りに裸の他人がいたんじゃ、ととのうどころか散らかってしまう。なので、何かでひと財産を築いてパーソナルサウナを自宅に完備するしかない。名前も「サヌア」にすると決めている。「ガジュア」でもいい。
アメイジングD.C.