テレビ東京系の人気番組「家、ついて行ってイイですか?」スピンオフコンテンツ「カレ&カノジョの家、ついて行ってイイですか?」が、TVerにて独占配信中だ。同番組は、デート中のカップルに「デート代お支払いするので、家、ついて行ってイイですか?」とお願いし、二人の自宅に訪問。峯岸みなみと、3時のヒロイン・福田麻貴、モデル・インフルエンサーとして活躍する若林萌々が、街行くカップルのリアルな恋愛模様をのぞき見する恋愛ドキュメンタリーとなっている。本作を手掛けたテレビ東京・秋葉祐太朗プロデューサーに、番組の企画経緯や見どころ、カップルの家について行くという稀有な体験を通して気づいた「恋愛」というコンテンツの強さを聞いた。
気になるけど聞きづらい、他人のリアルな恋愛模様をのぞき見できる番組
――まずは番組の企画経緯を教えてください。
Tverから若年層に向けた番組企画の募集があり、何かテレ東のコンテンツとコラボした番組を作れないかという風にぼんやり考えていたところ、知り合いの女性の放送作家さんから「最近の若い人は他人のリアルな恋愛事情に興味関心があるんじゃないか」という話をもらいました。僕自身も恋愛リアリティーショーなどを見ていて、恋愛は “共通言語”として色々な人と共感しながら楽しめるコンテンツなのかなと思っていました。価値観は人それぞれ違うけど、“恋愛をする”ということに関しては多くの人に共通している。そこで、リアルという点で親和性のある「家、ついて行ってイイですか?」とコラボして、巷のカップルの恋愛模様をのぞき見できる恋愛ドキュメンタリーを一緒に提案しました。
――確かに昨今、さまざまな趣向を凝らした恋愛リアリティショーが配信されています。そうした番組の面白さはどこにあると思われますか?
恋愛リアリティショーは用意された舞台の中でショー的に恋愛が繰り広げられるものなので、リアルな恋愛模様を見たいという欲求を満たしながらも、うまくゲーム性や障害となるイベントごとを取り入れて視聴者を飽きさせない工夫がなされています。ショーとしてもしっかりとした作りであることと、あとは視聴者同士で話のネタにしやすい点も、人気がある理由のひとつじゃないかと思います。いろんなタイプの男女が出演していて、それぞれのスタンスもはっきりしているので、「この人いいよね」「あの人はこうだよね」といった感じで、自然と話が盛り上がる。実際にSNSでもそうした議論が活発ですよね。
――その点、今回の番組は特定の舞台がなく、むしろカップルの飾らない生活の場にお邪魔するというところに新しさがありますよね。
そうですね。恋愛リアリティショーよりも、さらにリアルな恋愛模様を届けられるように意識して番組づくりをしました。例えば、お二人の生活感がわかるものをうまく入れられるように工夫したり。まるで知り合いの恋話を聞いているかのような感覚になって番組を見ていただければなと。
大きなドラマはなくても……取材を通して気づいたこと
――今回は吉祥寺、湘南の海、東久留米市のスーパー銭湯「スパジアムジャポン」と3つのスポットで取材をされていますが、選定理由はありますか?
それぞれデートスポットであるというのが一つの理由です。実際にはお台場やみなとみらいなど、他にもさまざまな場所で取材を敢行しました。僕自身、今まで地上波放送の「家、ついて行ってイイですか?」にはスタッフとして関わったことがなかったんですが、実際に取材をしてみると、カップルの家についていくのがかなりハードルが高かった。デート中にいきなり話しかけられて、家について行っていいですか?って聞かれたら困りますよね(笑)。なのでトライアンドエラーした結果、たまたまその3つのスポットで快く取材をOKしてくれるカップルがいたという感じです。
――取材の許可を取って、実際に家に行くというところまでこぎつけるには、かなりの時間がかかるんですね。
地上波放送のスタッフからも取材対象者を捕まえるのは難しいと聞いていたんですが、それよりもさらに大変だったと思います。ただ家についていくところまでいけたら、どのカップルも付き合うまでに紆余曲折あったり、ちょうど将来を見据えている最中だったり、そのカップル特有の骨太なドラマがありました。仮に100組の中で5組しか捕まえられなかったとしても、その5組の中でOAできるものが多かったのかなという感じです。
――本編もそうですが、本当にどんな人生にもドラマがあるんだなぁと思いますね。ちょっと人には話しにくいこともみなさん自ら吐露してくださるイメージがあるのですが、そうした話を引き出すコツはあるのでしょうか。
ご自宅にお邪魔しているので、リラックスした空間が作りやすいというのは一つあると思います。あとはタレントさんではなく、ディレクターが同じ目線に立って、「お二人のことを何でも話してください」という感じで聞いていくので、割とみなさんフランクに話してくれたと思います。また「家、ついて行ってイイですか?」という番組自体が人生ドラマに迫る内容なので、僕たちが聞きたいことを分かった上で取材を受けてくれたカップルも多く、意識して自分たちのことを赤裸々に語ってくれたんだと思います。
――自分では普通だなと思ってることでも、他人にとっては面白いということもありますよね。
カップルのルールなんかも各自で違いますし、意外とそんな細かいところまで友達同士では話さないので、大きなドラマはなくても、そういうところに面白さがある。だから、実はどんなカップルでも発見があるということを今回の取材を通して学びました。