9月に登山中の事故で亡くなった「クレヨンしんちゃん」の原作者、故臼井儀人さんの「思い出を語る会」が11月30日、都内の葬儀所で開催され、関係者が列席した。
臼井さんは'87年に「だらくやストア物語」で漫画家デビューし、その後、漫画誌「週刊Weekly漫画アクション」(双葉社)で連載開始した「クレヨンしんちゃん」がテレビアニメ化され世界中で大ヒット。現在「まんがタウン」(双葉社)で連載中の同作は単行本が49巻まで発売中で、累計発行部数は約5000万部にも上る。
会には臼井さんが漫画家を目指すきっかけになったという漫画家・ちばてつや氏も訪れ、「(臼井さんは)僕の作品のファンだと言ってくださって、宇都宮市で僕が教鞭(べん)を執る文星芸術大学にまで遊びに来てくれた。学生たちは『みさえを描いて』『シロを描いて』と大喜びで、1人1人丁寧に応じてくれた臼井さんの姿が思い出されます。漫画家としての人間像を学生たちに見せてくれた」と臼井さんの人柄を語った。
「クレヨンしんちゃん」はテレビシリーズだけでなく映画も人気だが、中でも親世代の感動を誘った映画化第9作「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」、第10作「-アッパレ! 戦国大合戦」は評価が高い。2作を監督した原恵一氏は「当初、2作とも内容が『しんちゃんらしくない』と反対の声もあったのですが、臼井さんは『好きにやってください』と言ってくださって。映画の絵コンテを送っても『見る楽しみがなくなっちゃう』と言って見なかった。原作者としてまれな方でした。『-戦国大合戦』の実写化作品『BALLAD 名もなき恋のうた』の会見で久々にお会いしたら、新垣結衣さんと写真を撮って大喜びしてましたね(笑)。この2作品を撮れたことは僕にとっても転機になりました。本当にありがとうと言いたい」と感謝の言葉を述べていた。
また、臼井さんのお気に入りだったラジオ番組「コサキンDEワァオ!」(TBSラジオ)から小堺一機と関根勤も招かれた。小堺は「番組にゲストに来てくださった時は、『地味な人がいるな』と(笑)。聞けば臼井先生だというのでビックリ。すごく腰が低い方だった」と懐かしく振り返り、「街で『リチャード・ギアですか』と聞かれて『いいえ』と言うのが夢だと聞いた時はおかしな人だなと思いましたね。もっとお話したかった」と別れを惜しんだ。関根は「娘の麻里と僕と母親の3人でよくしんちゃんの映画を見に行きました。親子関係に良いアニメです」と話した。
臼井さんも公開を楽しみにしていたという映画化第18作「クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」は'10年4月17日(土)に公開される。最後に登場した“しんちゃん”は「もっと世界中で人気者になって先生に褒めてもらうゾ!」と力強く締めくくった。
毎週金曜 夜7:30-7:54 テレビ朝日系で放送中
アニメ映画「クレヨンしんちゃん 超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」
'10年4月17日(土)から全国公開