コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、初めて接客のバイトを始めた娘に対して、父親が教訓を話す洋介犬さんの漫画「バイトを始める娘へ、父は」。9月30日に投稿されたツイートには、1万いいねを超える反響が集まり、「いろんな人がいる」「接客業あるある」「オチが秀逸」などといった反応が相次いだ。作者の洋介犬さんに話を伺い、創作の裏側などを語ってもらった。
洋介犬さんにインタビュー
――「バイトを始める娘へ、父は」は1万いいねを超える反響です。ここまでの反響となったことについて率直な感想をお聞かせください。
数々の漫画で大きな反響をいただいており、今回もまた多くの感銘をお届けできたのなら幸いです。それほどまでに、みなさんが「理不尽な客」に悩んでおられるんだろうなと思うと同時に、自分がその客側になっていないかという自省のきっかけになればとも思います。
――「バイトを始める娘へ、父は」の創作のきっかけをお聞かせください。
自身が漫画家になる前はゲームセンター店員をしていたこともあり、多くのそういった人を接客する機会がありました。たとえば映画館の映画泥棒のCMに「自分を泥棒扱いするのか」と怒る人はいますし、「万引きダメ！絶対」にも「自分の悪口を言っている」と怒り出す人もいるそうです。予想外の方向から予想外のカーブで飛んでくるクレームを表現できていれば幸いです。
――「バイトを始める娘へ、父は」に込めた思いがあればお聞かせください。また、この作品を通して、読者に伝えたいことはありますか。
接客業をすると人生観が変わるとよく言われますが、これから志望される方にとっては心構えに、経験された方には「そうなんだよなぁ」という酒の肴になればなと思い描かせていただきました。世の中にはたくさんの方がいるということ、そして、ほんの一部しかいない倫理や合理など簡単に超えてくる人たちに心を塗りつぶされてはいけないというささやきになれば、作家としてこの上ないことです。
「人に影響を与える」が作家にとって最大の誉れ
――その他、漫画全般において、執筆する際に意識していること、大事にしていることはありますか。
僕はいつもはホラー漫画家ですが、このような風刺的もしくはエモーショナルな漫画を描く際は読む方が「何を欲しているか」「何を読めば救いになるか」「いざという時に自分の漫画を読んでいたことで変えられる何かがあるか」を志向しており、この漫画もその一環であると言えます。「人に影響を与える」が作家にとって最大の誉れであるという原則においてはすべてのジャンル共通です。
――今後の目標や展望があればお教えください。
すでにたくさんの連載をいただいており、多忙を極めておりますが、挑戦を続けたい気持ちはあります。よく自身を野球のナックルボーラーに例えるのですが、そのとおり「毎回、どこに球が来るかわからない」変則投手ではありたいと思います。
――作品を読んでくれている読者やフォロワーにメッセージがあればお願いします。
大反響をいただき、「次に来るマンガ大賞」にもノミネートされた、『反逆コメンテーターエンドウさん』の単行本が発売中です。他の連載にも要注目ですが、テレビのコメンテーターが「普通は言えないことを言えたら？」という斬り込みで魅せる『エンドウさん』をどうかよろしくお願いいたします。
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