シン・イェウンは、チャンミについて「元々は明るくて外向的だったが、兄の事件の真相を探る中で強くなった人物で、心が痛かった」と説明し、「観ている方が、あの子を励ましたい、という気持ちになれるように演じた」と製作発表で語っていた。
また、射撃部のエースという設定のために、ダンベルを持ち歩いて腕を鍛え、ヒマさえあれば射撃場で訓練したんだとか。そのおかげで、10点満点を出せるようになり、選手の資格証も取得。用意していた代役も使わずに射撃シーンをこなしたそうだ。
これまで明るい役が多かった彼女だが、「私に対する印象でよく聞いたのが、笑っているときはとても明るいけど、真顔になった瞬間にとても冷たく見えるということ。それがストレスだったときもあったけど、これを演技に生かせるなら、それは私だけの大きな武器になると考え、今回の台本を読んだときに、今、それをお見せしなければならない、と思った」と語った。
そして「チャンミが眠れず、悩みが多くて犯人を探す大変な姿を現したくて、メイクも全くせず、目の下のクマも隠さないようにした」と役作りについて語り、視聴者が「あの子誰だっけ?シン・イェウン?」と思ってくれたら成功だ、と話していた。チャンミを演じることで、射撃でも演技でも多くの挑戦をして、苦労も多かったが、その分大きな達成感と幸せを感じたそうだ。
シン・イェウンは幼い頃から祖父がやっていた演劇を見て育ち、自然に俳優を目指すようになり、芸術高校に進学。大学も演劇映画科に進学した。そして、TWICEやStray Kidsで有名なJYPエンターテインメントの俳優部門の練習生に。その後、2018年にWEBドラマ「A-TEEN」の主役をオーディションで勝ち取った。18歳の高校生たちの愛と友情、悩みを現実的に描いたこの作品は累積再生数2億ビューを超える驚異的な大ヒット。彼女のファッションや使った化粧品は次々に話題になり、社会現象級の人気で一躍10代のアイコンになった。「WEBドラマの女神」というニックネームも付いたほどだ。
そして、tvN局のドラマ「彼はサイコメトラー」の主役に大抜擢。tvNはケーブル局だが地上波並みの大きな局だ。練習生から1年とかからないハイスピードで大役をまかされるまでになったが、決して浮かれるようなことは無く、第1話が放送されたときには「私がテレビに出るなんて」と、とても不思議で緊張しながら観て、何度も何度も観返したそう。
その後、「おかえり」「場合の数」など休む間もなく次々とキャリアを重ねた後、1年間の休息に入った。それまでは、休むと自分自身が情けないと感じてしまい、それが自分でとても嫌だったそう。「もちろん前だけを見て走るのもいいけど、それでは見逃す部分がきっとあると思った。ますます成長して進むためには、がむしゃらに進むより振り返る時間が必要だった」との思いから、しっかり休み、やりたかった趣味に次々に挑戦。おかげでリフレッシュして、「周りを見回せる比較的広い器の人間になれた」とのこと。演技活動に良い影響を与えることができたようだ。
休息の後に挑戦したのが「ユミの細胞たち シーズン2」での、悪気の無いかわいこぶりっこで男性を惑わせ、カップルの仲を危うくさせる役だった。視聴者に嫌われることは覚悟で、愛され役ばかり演じてきた彼女は新たな面を見せられると挑戦した。「“もう出てくるな”と言われたら、それだけ見たくないほど良い演技をしたという意味だから内心嬉しかった」と、悪口を言われたことをむしろ感謝していた。
「まだまだ足りない部分も多く、一生自分に100%満足することはできないと思うけど、作品を終えたときに自分でよくやった、お疲れ様、と言えるように上手くやり遂げる俳優になりたい」という彼女が新たに挑戦した今回のチャンミ役。ドラマはまだ序盤で、今後彼女がどのような事件に巻き込まれていくのかは未知数だが、今までにない芯の強い役柄で新たな一面を見せてくれそうだ。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョンドラマ部
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