孤独な男だったというイメージを新たに受け取ってもらえるのではないかと
――撮影を通してこれまでとは違う新たな義時を感じる部分はありましたか?
僕は、学生時代に北条義時という名前を知らなかったですし、もう少し歴史を学んでいる人たちも承久の乱くらいでしか名前が出てこない人物だと思います。だから、悪者と言うイメージがあるかもしれないですが、今回の大河ドラマを経て孤独な男だったというイメージを新たに受け取ってもらえるのではないかと感じています。
――これまでの義時の言動で「やりすぎたな」と思うシーンはありますか?
たくさんあります。前半は、そもそも300人くらいは兵を集められると言ったのに24人くらいしか集められなかったというところから始まっていて(笑)。良い案を思いついたり、理にかなっていることを言ったりするのですが、だいたいミスをしてしまうんですよね。
後半に関しては、和田義盛の殺し方はなかなかやってはいけないというか、あれをしてしまったら義時と共にいようと思う人はいなくなっていくだろうなと、個人的には思います。あとは、「おなごはきのこ好き」ということを信じ続けてきた結果、ことごとく敗北しているということに関しては残念だったなと(笑)。
悲しい終わり方になってしまったと感じています
――源頼家と源実朝の暗殺について義時はどういった心境だったと思いますか?
頼家と実朝の時代は、支えたいと思っていろいろなことをするけど、受け入れてもらえない時間もあったと思います。例えば、頼家の時は、自分たちがやってきた政をやっていく上で、彼の将軍としての気持ちが追いつくのを待とうと思っていたのですが、頼家には理解してもらえず、悲しい終わり方になってしまったと感じています。
実朝に関しても、彼はものすごく優れた将軍だったと思います。ただ、西(朝廷)にお伺いを立てるということが義時はどうしても許せず、今まで自分たちが築いてきた武士たちが作る国造りの理想から外れていってしまうと感じ、実朝が義時を納得させるだけの表現をしきれなかったというのが、最終的に二人を隔ててしまったものだと思います。
自分と自分の家族のことを考えている人が多い時代の中で、本当の意味で鎌倉幕府というものが上手く成り立っていくにはどうしたらいいのか、ということを最初から最後まで考えていたのは義時だけだったのではないかと思います。