チーム田中は、ドラフト後さっそくブレーンたちと会議。大人数の舞台も手掛けるう大が脚本を書き、田中とかたまりがブラッシュアップする作戦に。「初稿でこのクオリティは信じられない」と田中がうなった脚本は、中年男性(田中)が若い彼女(かたまり)と両親(う大&アタック西本)に結婚の許しを請う設定。ありふれた設定だが、う大らしいサスペンスホラーに話が転がっていく。
“異分子”の長谷川は、終盤に「車椅子の老人」として登場。セリフはほとんどなく、車椅子を押してもらうので立ち位置を他者に任せられる。それでいて物語の重要な鍵となる役……! 50代という年齢も役にぴったりで、“異分子”を存分に使い切っていた。
関西のベテランであるジュニアと小薮は、それぞれ異なるアプローチを見せる。チームジュニアは、ジュニアが約4年ぶりに新作コントを書き、ワントップでコント作りを進めた。4人の女性の雑談に三四郎・小宮がツッコみまくり、ラストは映像によって伏線を回収。実はセリフひとつ間違えられない、緻密なコントだったことに驚く。
一方のチーム小薮は、ハナコ秋山、蛙亭イワクラ、ビスブラ原田、ネルソンズ和田と、もはや全員がブレーン。全員で設定のネタ出しから入り、オンライン会議も駆使して打合せを重ねる。十分に検討を重ねてから稽古に入り、本番当日も11時半に集合して全員でランチ。子供が生まれた夫婦(小薮&イワクラ)のもとに、未来人(原田&和田)が訪れる設定は、全員の色が存分に出た内容だった。
時間の無さを工夫で回避したり、全員で正面からぶつかったり、力業で乗りきったり、それぞれ異なるやり方でできた、異なるタイプの5つのコント。優勝はチーム小薮だったが、本当に見る人によってベストが違う、甲乙つけがたい戦いだった。ネタだけでなく、芸人同士の関係性も楽しめる最高のお祭り。出演者たちは大変だろうけど、ぜひ今後も毎年やってほしいと願う次第である。
文=井上マサキ