――お2人は、声優としてお互いのことをどう思っていらっしゃいますか?
岡本 杉田さんは本当に唯一無二だと思います。固いキャラも柔らかいキャラも変幻自在だし、人の特徴を捉える人間観察力がすさまじい。役者としてのアウトプットももちろんですが、その前のインプットの段階から誰も真似できない方だと思っています。
――杉田さんは他の声優さんのモノマネでも話題ですが、同業の岡本さんから見ていかがですか?
岡本 武内(駿輔)くんが「増しモノマネ」って言ってたんですけど、皆さんの中にあるイメージを突いてくる。
杉田 だからモノマネ自体はあまり似てはいないんですよ。技術の研鑽とは全く違って、あくまで現場で見てきたものの再現なんです。今、世の中が面白おかしく取り上げがちだし、僕も後輩の役者に「杉田さんとモノマネバトルしたいです」って言われたら、かわいがってる後輩の期待には応えてあげた方がいいかな…と思って出演することもありますけど。そういうときは最初に「これは技術とかただのエンタメじゃなく、杉田智和という個人が好きだった人の芝居を、皆に忘れずに覚えていてほしいから再現しているだけです」ということを言うようにしています。
岡本 藤原啓治さん(のモノマネ)もやられてましたよね。
杉田 宣材写真が出た瞬間、画面をすぐには見れなかったです。楽しかったことを思い出しちゃって。今もなお収録済みの音声を使用した(藤原さんの声の)新しいキャラクターがリリースされ続けているんですよ。ふと、「まだいるんじゃないか」って思っちゃうんですよね。
――杉田さんから見た岡本さんは?
杉田 岡本さんは非常にいびつな形をしている器なんですよ。本来なら成り立たないはずなのに、なぜか成り立っている。普通の基準というのは難しいですが、あまりセオリーに準じていない存在。だからこそ、色々なキャラクターや存在を自分の中に入れられるし、全く違う形のアウトプットができる。彼にしかない概念やルールがある。格闘ゲームで例えると、1人だけ固有のシステムを持っているんです。この「オカモト」ってゲージ何?みたいな。あと、それでいて自分自身にはあまり興味がないところも好きですね。自分もそうなので。
――というと?
杉田 普通に生きていたら手に入らない夢や、なりたい姿があるから声優になった部分もあったんです。強靭な肉体を手に入れたり、動物の役ができたり…役として演じるとそれが実現した気がして満足するんですけど、その分自分の普段の生活には強い目標がない。「人生の野望は?」みたいな質問をされることに若い頃からずっと困っていましたね。「二次元が迫害されない世界にしたい」って答えてましたが(笑)。
岡本 僕ずっと「世界平和」って言ってましたよ。
杉田 そういうときに柔らかく流せるっていうのはすごいなあと思って。自分にはないところです。
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