結局自分でセーブをかけてるだけで、人見知りじゃないかも
――先程、タイプが真逆だと仰っていましたが、真美に共感できる部分はありましたか?
私もあまり自分の思っていることや感情を表に出すことが得意ではないし、でも、私も大切にしてきたものとかがしっかりあったし、そういう意味では似ているのかもしれません。
私も中学、高校のときに、どうやって人間関係を構築していいか分からなくなっちゃった時期があったんです。ただの思春期なんですけど、ちょっとうまくいかなくて、そのままこの仕事を始めたんですね。なので当時は、仕事で関わる監督や共演者の方をどんどん好きになっていくのに、その好きをどう表していいか分かりませんでした。人見知りだし、コミュニケーションうまく取れないし。
でも「人見知り」で終わらせるのって、やっぱりもったいないなと。結局自分でセーブをかけてるだけで、人見知りだと思ってるけど人見知りじゃないかもしれないなって思い始めてから、変わりましたね。
だから今、すごい楽です。初めて会う方はもちろん緊張しますけど、どんどん話しかけますし、この人面白そうと思ったら自分から積極的にアタックします。現場は人との出会いの場なので、そこを楽したいと思っています。私にとって仕事は、そこにいる人たちと仲良くしにいく時間みたいになってます。
――仕事の取り組み方も変わりました?
全く変わりました。楽しくなりましたね。前はしんどい役が多かったっていうのもありますが、割とストイックな性格なので、一回役に入り込むと日常にまで引きずって、どんどん気持ちが重くなっていました。
仕事をいっぱいいただけるのはうれしいはずなのに、いつもしんどい…みたいな時期があったんですけど、今はそれがなくなって。
そこにいる現場の人たちを、よく見るようになったかな。以前は矢印が全て自分に向いていたんですが、やっとこさ外に向けられるようになってきて、だいぶ楽になりました。
毎日こつこつやってないと、きっかけが来ても変われない
――何か具体的な変化のきっかけがあったのでしょうか?
後から振り返ると、あの出来事が一歩のきっかけだったのかな、というのはあると思うんですけど、でも日頃の行いが全てだと思っています。毎日毎日こつこつしっかりやってないと、そのきっかけが来た時も変われないと思うんです。絶対に。
一個大きな作品をやって変わる、ということももちろんあると思います。私だったら「愛の渦」('14年)で名前を知ってもらって、というのはありますけど、でも毎日の試行錯誤が全てだと思います。ポッと来たチャンスに、どれだけアンテナが張れている状態で日々過ごしているか。とてもいいチャンスが来ても、気付かず通過していってしまうことはたくさんあると思いますし、だから、きっかけって偶然じゃないと思うんです。
――では真美のように一歩踏み出せずにいるとき、門脇さんはどのように自分の背中を押しますか?
でもそういう時期って、チャンスだと思うんです。自分が進みたいと思っているからこそ、悩んでしまうわけですよね。そこで諦めてしまったらそれまでだけど、そこでいかにもがくか。
もがけるチャンスなんて滅多にないから、「よっしゃきたこの時期!」ぐらいの心構えでいいと思います。私はいつもそうですね、「悶々期来た!」みたいな(笑)。これを乗り越えたらもうちょっと進める、みたいに考えてます。
――プラス思考なんですね。
すごくプラス思考だと思っています(笑)。悩みがあることは幸せだとすら思うので。
――昔からそういう考え方でしたか?
昔からですね。バレエをやってたことが大きいと思うんですけど。例えばバレエで三回転ができなくて悩む時期があっても、ちゃんと練習すればできるようになるっていうことを子供の頃から体で覚えてきてるので。それが根っこにあるので、出来ない、という事をマイナスに感じないのかもしれません。
とは言え、できないこともあるんですけどね(笑)。でもそれはそこまでと割り切るしかない。大事なことは、毎日こつこつ続けることだと思います。そうすると、転がり込んできたチャンスを見逃さず、うまくつかめると思うんです。
7月15日(土)から東京・渋谷シネパレスほかで全国順次公開
出演=門脇麦、三浦貴大、比留川游、岡本拓朗、安井順平、駒木根隆介、マキタスポーツ、YOU ほか
監督・脚本=尾崎将也
主題歌=藤原さくら「1995」
製作=クエールフィルム
配給=アークエンタテインメント
(C)クエールフィルム
【公式サイト】http://sekakimi.com/