──みね子が生きる時代とご自身の過ごされてきた時代はちょうど重なりますが、思うところはありますか?
僕が俳優を志して俳優座の養成所に入ったのが20歳の時で、ちょうど東京オリンピックのころでした。実(沢村一樹)たちが「すずふり亭」に行くエピソードがありますが、僕も貧乏だったのに、六本木の洋食店で舌平目のムニエルかなんかを食べていたのを思い出しましたね。
一方で、そば屋にも通っていました。お金はないけど1杯じゃ足りないから、つゆだけ残して「そばを入れてくれ」と言ったりもしていましたね(笑)。
──劇中で、宮本信子さん演じる鈴子が「東京、嫌いにならないでくださいね」と話しますが、古谷さんも当時、同様の思いを抱いていましたか?
僕は六本木で俳優の勉強をすることに夢中だったから、あまり集団就職してくる子たちに意識は向いていなかったかな。
でも、集団就職で上京してきて、稼いだお金のほとんどを田舎に送るのは、大変だったと思いますよ。気持ちが強くないとできないと思います。そういう意味では、みね子はのんびりしているようだけれども、しっかりしているのだと思いますね。
──茂はどんな人物ですか?
茂は寡黙な男ですが、口を開くとユーモアもある。孫3人を含めて家族をとても愛していますし、実のいない谷田部家で、大黒柱にならないといけない、弱みを見せちゃいけない、と思っています。そのあたりをベースにして芝居していますね。
聖火リレーのシーンで「村の重鎮も見守っています」って紹介されて、「分かってるじゃないか」って言うところなんかは、ちゃめっ気もありますよね。
──茂は「若いころはモテた」という設定ですが、そのあたりは意識しましたか?
それは全然しませんよ! おじいちゃんが色っぽい必要ないでしょ(笑)。これまで俺が演じてきた役に色っぽいものが多いから、そう(設定に)書いてあるだけだと思いますよ。
──茂の半生について、想像されましたか?
元気のいい人だったんだと思いますね。息子の実が青年団の団長をやっていたという設定が出てきますが、おそらく茂もかなり活発な青年で、村を引っ張っていた時期もあったんだと思います。
毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか
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