私は、紬の“まっすぐなところ”に引かれる想という人の毎日が、たくさんの笑顔で包まれるよう願いながらドラマを見ていた。正直、目黒蓮が一生懸命練習したであろう手話の演技は尊敬できるし、「顔がいいのは元々だからな」などと言ったセリフをさらりと言ってのけ、ふと見せる少年のようなハニカミもたまらない。
もちろん、最近では朝になれば目黒が別の学生として空を舞いあがることを応援するようにもなっている(連続テレビ小説「舞いあがれ!」[毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか]に出演中)。そんな視聴者は日本中に存在するのだろう。目黒にハマる寸前になっている人々を山手線の目黒駅一歩手前という意味で「今、恵比寿」と表す言葉もSNSでトレンド入り。もう「今、目黒」と到着している人ばかりだろう。
だからこそ、第10話(12月15日放送)で想が紬に絞り出した手話「好きにならなきゃよかった」は一番聞きたくなかったのである。好きな気持ちが膨らむ一方で、紬の声も好きな音楽も一緒に聞こえない辛さを告げたセリフだが、この恋自体をなかったことにはしてほしくない。「silent」という作品で得た感動的な気持ちや、心が震えた体験をもらった以上、想自身にも後悔してほしくないと思うのだ。
ラスト1話、最終回で想が紬と再会できた自分の人生を誇りに思えるような結末を。放送が終わっても、どこかであんなカップルがずっとお互いを思い合いながら笑って過ごせていることを想像できるような展開を願っている。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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