多くの人の人生を狂わせた投資家の命の価値は?
羽場を「生き延びる価値はない」と判断したエースの次のターゲットは、34歳にして特発性間質性肺炎で突然の余命宣告に絶望する投資家の渋谷(池松壮亮)。
アジア圏を中心としたビジネスで大成功を収めている渋谷は、失業者に無償で仮宿泊所を提供するNPO法人を立ち上げるなど社会貢献でも知られていた。ところが、裏では強引なM&Aで中小企業の技術を海外に流出させて不当な利益を得ており、中小企業の経営者や社員たちは人生を狂わされていた。
渋谷が亡くなると失業者のためのNPO法人も立ち行かなくなるため、助けようと考えていたジョーカーに、「あいつは多くの人生を奪っている」とエース。ジョーカーは「罪を裁くのは医者じゃないだろ」と返したが、エースは「あんなやつに助ける価値はない」と判断。しかしジョーカーが「もう一度チャンスをくれ」と迫った。
病状が悪化する渋谷は、自殺を図るも元部下に助けられた。その元部下と仕事を始めたころの夢を思い出した渋谷は、財産を中小企業や職人たちの技術を支えるために使うことに。その姿をみたエースは、渋谷を驚異的なオペで救った。
命を扱いながら、政治を含む社会の問題を突いていく展開にぐっと興味を引かれた。
寡黙な妻夫木聡“エース”と乙女!?な藤原竜也“ジョーカー”に期待
闇医者チームはターゲットとなる患者の前には光る仮面で現れ、AIなど最新の機器が備わったオペ室に近未来さを感じるところもワクワクする。
妻夫木は、寡黙で、笑顔を見せないエースを好演。「Get Ready」という言葉がオペをする合図となり、これから決めぜりふとして盛り上げていくのだろう。
ジョーカーは、かつて自分が絶望的な診断を下されてやけになっていたときにホテルのバーで出会ったエースに救われたことが明らかになった。恩を感じているジョーカーだが、エースが自分を含む他人に対して無関心なのが「物足りない」と言い、クイーンに「乙女だぁ」とツッコまれる場面が。
そんなエースとジョーカーを演じる妻夫木と藤原は、同じ事務所の先輩後輩だが、演技では単発ドラマ「SABU~さぶ~」(2002年、テレビ朝日系)以来、意外にも20年ぶりの共演。弁護士として倫理観、正義感を持ち合わせながらチームを支え、乙女チックな思いも秘めているジョーカーと、気難しいところのあるエースの掛け合いも楽しみだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部