2022年12月30日に行われた「2022MBC演技大賞」で、イ・ジョンソクが「ビッグマウス」の演技を評価され、6年ぶりに大賞に輝いた。前回の受賞は2016年の「W-君と僕の世界-」で、今回が2度目。これまで複数回、大賞を受賞した女優は何人か居るが、男優で複数回受賞したのは彼が初めてだ。
2022年のMBCドラマ中、視聴率No.1
本授賞式は、1年間に韓国のテレビ局「MBC」で放送された全てのドラマが対象となる年末の恒例イベント。今年は「『ビッグマウス』の年」と言っても過言ではないほど、大賞の他にも「今年のドラマ賞」、ジョンソク演じるチャンホの妻・ミホ役のユナ(少女時代)が「ミニシリーズ最優秀女優賞」、そして視聴者投票で選ばれる「ベストカップル賞」と主要な賞を独占した。
「ビッグマウス」は、一発逆転を狙って引き受けた事件に巻き込まれて濡れ衣を着せられた三流弁護士・パク・チャンホ(イ・ジョンソク)が、収監された最凶の刑務所で生き残るため、また家族を守るために、稀代の天才詐欺師“ビッグマウス”になりすまして、事件の裏に隠された上流社会の巨大な陰謀を暴いていくクライムミステリー。
放送前から、2021年に兵役を終えたジョンソクの本格的復帰作かつ約3年ぶりのドラマとして注目度が高く、放送開始後は「本物の“ビッグマウス”は誰なのか」に関心が集まり、また、思わず「えーっ!?」と声が出てしまうどんでん返しの連続で先が読めない展開に視聴率は右肩上がり。2022年のMBCドラマ中、視聴率No.1を記録した。日本では、ディズニープラス「スター」で現在独占配信中だ。
ダメ弁護士から伝説の詐欺師へ あらゆる顔を見せた高い表現力
単なる“監獄サバイバル物”ではなく、ユナ演じる妻・ミホとの夫婦愛や、“ビッグマウス”探しの謎解き要素などジャンルミックスなストーリーも魅力だが、ドラマの世界への没入度を高めるジョンソクの幅広い表現力からも目が離せない。ちょっとだらしなくて軽い、借金も抱えるダメ弁護士の姿から、濡れ衣を着せられて絶望し、希望の無い目で刑務所で凶悪犯に殺されようと無謀な挑発を繰り返す姿、そして伝説の詐欺師“ビッグマウス”になりすまして巨悪に立ち向かう姿…と、強さも弱さも見せながら、どんどん変わっていくチャンホを見事に演じきった。
「~演技大賞」で大賞受賞者として名前が呼ばれ、トロフィーを受け取ったジョンソクは、何度も深呼吸をして喜びを噛みしめるように胸に手を当て、なかなか話し出すことができなかった。やっと話し始めた彼は「発表されるまで(緊張で)死にそうでした」と言い、「6年前、20代で初めて大賞をいただいた時は、この賞の意味(重み)がよく分かっていませんでした。30代になり、久々に皆さんにこの復帰作でご挨拶しましたが、たくさん愛してくださって、こんな大きな賞もいただけて、責任感と重みが前とは違うように感じられます」と、真っ赤な目で感謝を述べた。
そして「久しぶりの演技だったし、ジャンル的にも初めて挑戦する作品だったので、とても怖かった」と言い、「新しい雰囲気の作品をやってみよう」とこの作品を提案した監督をはじめとするスタッフに「いつも以上に助けていただいた」と心から感謝し、8~9カ月に渡る撮影期間中、本当の獄中生活のように共に苦労した共演者や刑務所の外で孤軍奮闘したユナにも感謝の気持ちを表した。
刑務所での乱闘シーンなど肉体的にも苦労が多かっただけに、やり遂げた充実感も大きく、いっそう思い出深い作品となったようだ。特に記憶に残っているのは第4話のエンディングの、囚人たちがチャンホを囲んで「ビッグ!ビッグ!!」とを連呼するシーンだそう。「台本には“まるで戦場に出る将軍のように”と書かれてたんですが、それは僕が表現できる領域じゃないので、一体どんな表情をすればいいのか悩みました。漫画みたいな感じもするし、カメラアングルや音楽、雰囲気まで気を遣って撮ったんですが、オンエアを見て安心しました。“あ、何かカッコいい!”って思ったんです」と語り、今までは1人で責任を背負ってアレコレ悩んでいたが、作品を一緒に作るスタッフや共演者を頼って相談すればいいんだ、と考え方を変えるきっかけになったようだ。
また、第1話のエンディングも気に入っているようで「チャンホの人生が根こそぎ変わる瞬間でもあり、アイコンタクトしながら視聴者に直接話すようなナレーションがこのドラマへの関心をさらに引きつけたと思います。物語の始まりを強烈に開いてくれたシーンなので、より記憶に残っています」と、撮影終了後に振り返っていた。
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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