コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回注目したのは、あおたおあさんの『残夜に煙々』という作品だ。
Twitterに投稿された同作は、主人を亡くして取り残された機械人形(アンドロイド)の胸中が描かれている。6ページで構成されたショート漫画だが、“大切な人を失う”という切ない描写に「胸に響く名作」といったコメントが寄せられ、3万件を超えるいいねを獲得した。多くの読者の胸に響く傑作を手がけたあおたおあさんに、作品制作の背景について聞いた。
亡き主人が好きだった煙草を吸う機械人形… 最初で最後の一服が切ない
「ご主人様が亡くなりました」。最初の1コマは機械人形である「私」のひと言から始まる。ぐうたらで変わり者だった主人の最期は“あっけないものだった”と語る機械人形。誰もいない主人の部屋に入った彼女は「ご主人様のお部屋がそのままになっていましたね」とつぶやく。また主人がいなくなったことによって、「私」は間もなく製造元に引き取られて初期化されることも理解していた。
部屋の中で主人が吸っていた煙草を見つけ手にとり、主人に「煙草は体に悪い」「健康に気を使って」と再三注意していたことを思い出す。不意に記憶の中の主人をまねて煙草をくわえた彼女の脳裏には、「いや、本当に俺はお前がいないと生きていけないよ」「なあ、お前はどうなんだ?」という主人の言葉が次々フラッシュバックしていた。しかしライターで点けた煙草の火は、息を吸い込まないとすぐに消えてしまう。「呼吸もできないのに煙草なんて…」と自分の行動を笑いながら、さらに主人から聞かれた問いに思いを巡らせていく…。
アンドロイドといえば“感情がない”という設定が多い中、同作の機械人形は主人を亡くして感傷に浸る様子が描かれている。実際に読んだ人からは「とにかくエモい」「最後のページが狂おしいほどに切ない」などのコメントが寄せられていた。
特にこだわった場面は“煙草を吸う”シーン
――『残夜に煙々』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
アンドロイドが煙草を吸ってるシーンが描きたいと思って話を考え始めました。
――作品を描くうえでこだわった点や、「特に伝えたい」ポイントがあればお教えください。
今回は「煙草を吸う」という行動に意味がある話だったので、その動作をとにかく丁寧に描くことを意識しました。
――「残夜に煙々」の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
3~4ページ目のアンドロイドの一連の動作です。彼女は表情が乏しいですが、この行動すべてに彼女の感情が宿っているので、大事なシーンです。
――アンドロイドが当たり前に存在する世界観だと考えましたが、2人の付き合いは長いのでしょうか?
なかなか長い付き合いだと思います。でも人によっては短くも感じるかもしれません。それくらいの期間です。
――感情を知るアンドロイドが普及したとき、あおたおあさんはそばにいてほしいと思いますか?
いてほしいです!
――今後の展望や目標をお教えてください。
どんな形でも漫画や絵を描いていければと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
読んで頂きありがとうございます。この一言に尽きます。これからも描いていきます。よろしくお願いします。