思えば、草なぎ剛はいわゆる“バラ売り”を積極的にしてきたSMAPの中で、もっとも“ひとり立ち”に時間がかかったメンバーだった。木村拓哉や稲垣吾郎がドラマで、中居正広や香取慎吾がバラエティで存在感を発揮する中、“地味”な草なぎはそのどちらでも力を発揮できずにいた。中居や香取から遅れて「笑っていいとも!」(1982~2014年フジテレビ系)のレギュラーに抜擢されても、本番中、ほとんど喋ることができなかった。ある日の本番終了後、草なぎはタモリに連れられ食事に行ったという。そこでタモリは言った。
「しゃべれないヤツはしゃべんなくていいんだよ」
その言葉で、一気に力が抜けた草なぎは、その掴みどころのない独特な個性を活かせるようになった。そしてそのキャラクターに合致したドラマ「いいひと。」(1997年フジテレビ系)の主演でブレイク。翌年始まった「『ぷ』っすま」(1998~2018年テレビ朝日系)での一見やる気がなさそうでありながら、ひとたび自分の興味のある企画になると前のめりになり、本筋とは余り関係のないところで負けず嫌いを発揮する、番組の進行お構いなしの司会は、「いいとも!」でのタモリそのものだった。タモリの“後継者”は芸人の誰でもなくアイドルの草なぎ剛なのかもしれないと思わせた。
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