魅惑の踊り子“お百”の着想は乱歩のエッセイから
ーー第2話では特に世古口凌さん演じるオペラ館の蠱惑的な踊り子・お百が印象的でした。
お百は乱歩先生が「わが夢と真実」の中で書いていた、学生の頃にかわいい男の子と恋をしたけれどもその関係はとても清く、キッスでさえ経験しなかった、というエピソードから着想しました。
“ジェンダーフリー”という部分は注目されるだろうと思いますが、果たしてお百とはどういう存在なのか、“女装している男性”と一言で言っていいのか、非常に考えるところだと思います。そして、お百のような存在はドラマの中でどう活躍させ、どう生きざまを表現すべきか難しく思われることが多いと思うのですが、本来ならその必要はないんだろうなとも思います。なぜなら、お百に限らず、「この人はこういう人だ」とその人の全てを一言で表す言葉はないからです。それぞれに唯一の喜びがあり、哀しみがあり、複雑に絡まりながら生きている。そういうことが描きたかったですね。
ーーお百の歌声は上白石萌音さんが担当されていましたが、とても美しかったです。あの曲はドラマオリジナルのものなのでしょうか?
あの歌は私が書いた歌詞に大橋トリオさんがメロディーをつけてくださったものです。実は、1話でもメロディーは出ていたんですよ。
(制作統括・櫻井氏補足:上白石萌音のキャスティングは音楽担当・大橋氏の提案がきっかけで実現)