2022年11月に劇場公開された「ブラックパンサー／ワカンダ・フォーエバー」が、2月1日にディズニープラスで配信開始。2018年の大ヒット映画である前作「ブラックパンサー」は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)初の黒人スーパーヒーローによる単独作品で、キャストやスタッフの大半も黒人という、それまでのマーベル作品にはなかった体制で制作された。全米5位(当時)のオープニング記録を打ち出し、5週連続で1位をキープ。「第91回アカデミー賞」においてスーパーヒーロー映画として初の作品賞にノミネートされるなど、作品自体の芸術性の高さ、完成度の高さも評価された。続編となる今作も3月に発表となる「第95回アカデミー賞」において5部門ノミネートされており、何部門で受賞するか洋画ファンの注目を集めている。(以下、一部ネタバレを含みます)
「ブラックパンサー」とは
アフリカにある架空の国「ワカンダ」が舞台で、“ヴィブラニウム”と呼ばれる鉱石のおかげで、世界のどの国よりも優れた高度な科学技術を持っている。ボーズマンが演じたティ・チャラは、ワカンダ王国の国王ティ・チャカと妻ラモンダの間に生まれ、幼い頃から次期国王、そしてブラックパンサーになるべく訓練を受けてきた。
名前の通り、黒豹のような俊敏さと高い格闘スキルを持ち合わせており、バトルシーン、アクションシーンも迫力があって見応え十分。元々の性格は穏やかで、理性を失わず、感情もきちんとコントロールできる。しかし、ひとたび危機が訪れたり、必要とされるケースになるといち早く行動できる判断力も持ち合わせている。国王とスーパーヒーローの兼任という珍しいポジションだが、多くの人に慕われていて、王としてもヒーローとしても人が求める理想像に近いところも人気の理由となっていた。
第1作が公開されてから2年後、2000年8月にボーズマンは43歳の若さでこの世を去った。世界中に悲しみと衝撃が広がったが、彼の遺志を受け継ぐ続編が誕生。監督はライアン・クーグラーが続投した。最初の構想では、ティ・チャラのリーダーシップにフォーカスを当て、より進化していく姿が描かれる予定だったが、ボーズマンが亡くなったことで変更を余儀なくされた。あえてボーズマンの代役を立てないことを決め、ブラックパンサーが不在となったワカンダ王国に遺された人たちが、新たな脅威となる敵との戦いに挑む物語に仕上がった。
「―ワカンダ・フォーエバー」は、オープニングでティ・チャラの死を描き、国民がワカンダの国中で歌ったり踊ったりしながら国王の死を悼むシーンから始まった。その場面は、ティ・チャラだけでなくボーズマンを悼むシーンとして見る人の胸に深く刺さっている。
ティ・チャラの母が新たな国王に
ティ・チャラの母親のラモンダ(アンジェラ・バセット)が新しく国王となり、ワカンダの国民を引っ張っていく。ヴィブラニウムを狙う諸外国や新たな敵のネイモアに対して、国王らしい毅然とした態度を見せるところなど、作品の中でも存在感が際立っている。バセットはゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞し、「第95回アカデミー賞」においても助演女優賞にノミネートされた。同賞ではMCU作品の演技部門のノミネートはこれが初となる。
ティ・チャラ、そしてラモンダにならって大きな成長を見せるのがシュリ。天才的な頭脳を持っていて、世界の最先端科学技術を誇るワカンダの中でも突出した存在だったが、兄の死に大きな衝撃を受け、しばらくの間、自分のラボに閉じこもってしまう。しかし、敵の出現やワカンダの危機などに直面し、彼女の中でリーダーシップも育っていく。シュリの成長は、そのまま演じているレティーシャ・ライトの俳優としての成長とも重なり、見る者をワクワクさせてくれる。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/black-panther-wakanda-forever/
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