「エロさだけではNG」グラドル森咲智美がドラマで挑んだ“美しい性描写”<アカイリンゴ>

グラドル森咲智美がドラマ「アカイリンゴ」に出演中撮影=鈴木康道

小宮璃央主演で放送中のドラマ「アカイリンゴ」(毎週日曜深夜0:25-0:55、ABCテレビほか、DMM TVにて独占配信中)に、グラビアアイドルの森咲智美が出演している。ムラタコウジによる原作漫画は“過激すぎてBANされた”という問題作。性行為が法律で禁じられた近未来の日本を舞台に、若者たちの欲望に揺れる心情と、理性で抑えきれない衝動を、繊細かつ鮮烈に描きだしていく。さらに、“日本一エロすぎるグラドル”として活動する森咲は、本作にどのように挑んだのか。役作りと撮影の舞台裏を聞いた。

常に意識した“綺麗に見せる”ということ


――地上波ドラマのレギュラー出演は今回が初めてです。現場で感じた違いはありますか?

やっぱり良い意味で緊張感がありますね。出来上がった現場に飛び込むスポット出演も緊張はしますが、今回はイチから作り上げる緊張感で、皆さんと一致団結しながらできたかなと思っています。で、初めてなのにこの「アカイリンゴ」。原作は過激すぎてBANされたこともある問題作ということで、これをどう実写化するのか。地上波ギリギリを攻めるというお話で、楽しみもありつつ参加しました。

――森咲さんにも通じるBAN作品ですね。

厳しい世の中だなと思っております(笑)。そんな中、原作は本当にギリギリのラインを攻めているところがすごいです。でも、実際に読んでみていただければ分かりますが、ただアダルティなだけではない性にまつわるテーマが扱われているんですよ。あまりにも面白いので一気に全部読んじゃいました。

――森咲さんが演じた壇田律は、表向きには清楚な美術教師ですが、裏では教え子に手を出すという女性です。どのような考えで役に向かいましたか?

グラビア活動をしているのでセクシー表現は得意なんですけど、逆に生徒から好かれる清楚な教師ということへの配慮が難しくて、どうしたらセクシーにならないかという逆パターンを作るのが大変でした。なんといっても壇田先生は生徒たちの癒しの存在。“学園のアロマ”なので(笑)。途中からはエロさを解放する一方になっていき、それは本業なのでやりやすかったですが、そことのギャップ作りですよね。ギャップがあるほど面白いですし、あとは清楚な壇田先生もセクシーな壇田先生も、綺麗に見せるというのは常に意識したところです。

――本作の設定である、性行為が違法とされる社会については、率直にどう思いましたか?

これは正直答えが難しいですね。もちろんルールに従ってという前提ですけど、私はもう少し開放的な社会であってほしいと思います。性行為って本来悪いことではないし、むしろ大切なこと。人の根源的な行動でもあるわけじゃないですか。もし本当にそういう社会になってしまったら、私は自由に生きたいし、壇田先生タイプになるのかもって思いますね。

“学園のアロマ”と称される癒し系美術教師・壇田律(森咲)、しかしその実態は…。(C)ABC


性描写の撮影を支えてくれた、日本に2人の専門職


――綺麗に見せるというお答えがありましたが、そこはグラビアとも通じる森咲さんの美学でしょうか?

ただエロさを出すだけではいけないというのは原作を読んだときから理解していましたし、そのためにボディラインを美しく見せる動き、ポージングはかなり考えて臨んでいて、現場でも褒めていただけたところです。それと、着衣での表現というのも。グラビアでもそうですが、着衣でのセクシーさって、一番は所作なんですよね。肌を見せなくても所作と表情で色気は伝えられるし、今回は映像でもあったので、声色でも表現するように頑張っています。普段の喋り方とはもちろん違うし、責めるときは責めるときでまたちょっと違う声の演技をしていますので、そのあたりはぜひ注目してもらいたいところです。

――今回は性行為の攻めた描写があり、なおかつ映像作品ということで、グラビアで作るエロスやセクシーさとは気持ちの面で違いがあったと思います。撮影に抵抗はありませんでしたか?

今回の撮影現場にはインティマシー・コーディネーターさんが入っていて、その方に助けられた部分はとても大きいです。インティマシー・コーディネーターは露出や身体的接触を伴うシーンを安全に撮影するために、役者と監督のあいだで調整を務める専門家で、性的シーンの撮影をする際に、性の専門知識で現場をコーディネートしてくれる方です。俳優を守り、尊重するために、「どこまで脱げるか、脱がないならこういう風に撮影しましょう」といったことを細やかに聞いてくれて、私たちが直接話しづらいことを監督さんたちと交渉してくださったりもします。今日本には2人しかいない職業らしく、私もお会いしたのは今回の現場が初めてです。本当に色々相談させていただきましたね。

――インティマシー・コーディネーターがいることで、安心して現場に入ることができる?

もちろんそうですね。今回のコーディネーターの西山ももこさんは女性の方で、それは私たち女性側からしたらとても安心します。女性にしか分からない悩みを親身になって聞いてくださるし、演技の部分でもアドバイスしていただいて。それこそ私は男性と絡む撮影というのが初めてだったので、どうすればいいのか分からないこともたくさんありました。そういうときにボディラインが美しく見える動きを教えてくださったり、抱き合うシーンだったらその形、喘ぎ声であれば「こうしてみたら?」といった所作の案をいただけて、1つ1つ相談しながらできたのは良かったですね。

本当に、性にまつわる全てのコーディネートです。俳優にとっては支えになるし、作品にとっても必要不可欠。観てくださる方に不快感を与えない美しいシーン作りで、映像のクオリティーをぐっと上げてくれる役目を持っていると思います。初体験の現場で大変でしたけど、刺激を感じながら楽しく撮影できたのは西山さんの存在が大きいですね。今は「やり切ったなー!」という気持ちでいっぱいです。

森咲智美撮影=鈴木康道


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