鈴木拡樹×荒牧慶彦「映画刀剣乱舞」最新作で描きたいことは「ただ一つ、歴史を守ること」

2023/03/26 09:00 配信

映画 2.5次元 インタビュー

枠を線引きし、時に踏み出す…演じるキャラクターとの向き合い方は


――刀剣男士とは長い付き合いになるお2人ですが、長く付き合っているからこそこそ気付くことや変化はありますか?

荒牧:映画の前作くらいからかな?山姥切国広っぽくないセリフがあった場合にすぐ気付けるというか、「このセリフは言い方を変えてもいいですか?」と言える気付きがどんどん増えています。ファンの皆さまの中にもそれぞれの山姥切国広がいる。いい意味で勇気を持ってその枠から踏み出すことはアリですが、意図しない踏み外し方をして皆さんの期待を裏切りたくはないんです。山姥切国広を愛してくださる方々…僕も含めてですが、そこから逸脱したくない思いが、演じるたびに強まっているからだと思います。

鈴木:それは確かに、僕にも当てはまるところがあります。他の2.5次元作品でもそうですが、キャラクターの枠を線引きすることはすごく大事なことで。ただ、線を引き過ぎて超えようとしない姿勢は、実写化する意味をなくしてしまうことでもあるから気を付けています。枠を超えないと、感動が生まれなかったりもしますからね。そのさじ加減は三日月宗近を初めて演じた頃から考えていましたし、ラインの位置は随分と変わった気がします。どんどん変えて、アグレッシブにいく姿勢が染みついています。

酒呑童子の最期の呪いを受けた山姥切国広(荒牧慶彦)(C)2023 「映画刀剣乱舞」製作委員会/NITRO PLUS・EXNOA LLC


――それでは逆に、三日月宗近、山姥切国広を演じる上での“ぶれない軸”は?

荒牧:誇り、ですかね。自分が山姥切国広第一の傑作という…。写しというコンプレックスはありますが、その刀工が打った第一の傑作なんだという誇りだけは忘れないように演じています。

鈴木:自分の中のルールですけど、立ち居振る舞いは“和”から絶対に崩さないようにしています。和の心持ちは、とても大事で。これを失うと三日月宗近から離れてしまうのは最初の時点から感じていたので、どれだけボケていようが、和から外れたことはしません。

左から、髭切(佐藤たかみち)、膝丸(山本涼介)、三日月宗近(鈴木拡樹)、へし切長谷部(和田雅成)(C)2023 「映画刀剣乱舞」製作委員会/NITRO PLUS・EXNOA LLC


「刀剣乱舞」の新たな挑戦がうれしかった


――最後に、「映画刀剣乱舞-黎明-」を楽しみにしている審神者の皆さんへ、メッセージをお願いします!

荒牧:現代が舞台など、さまざまな情報が発表されて「何を描くつもりなんだ?」と感じている審神者の方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。描きたいことはただ一つ、歴史を守ることです。CGの迫力はさらにパワーアップしていますし、刀剣男士たちが現代の見知った場所で戦ったりしているので、日常に見えるけど非日常な物語を楽しんでいただけたらうれしいです。

鈴木:改めて考えてみると、この作品は大きな挑戦をしているんだよね。

荒牧:そうですね。

鈴木:「刀剣乱舞」が新たな挑戦をしてくれたことが、携わる一キャストとしてとてもうれしかったです。そして今までは歴史の視点を通して見ていた物語が、今回は歴史を取っ払って見られる面白さがあるな、と感じました。多くの方に喜んでもらえるだろう、そんな感触があります。いろいろと仕掛けてくる部分があるので、ワクワクヒリヒリしながら楽しんでください。

鈴木拡樹(写真右)、荒牧慶彦(写真左)撮影=西村康

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