3月24日(金)公開の映画「ロストケア」に鈴鹿央士が出演する。老人42人を殺害した心優しい介護士・斯波(松山ケンイチ)と、彼の罪を立証しようとする検事・大友(長澤まさみ)の攻防を描く本作。鈴鹿が演じるのは、大友の右腕である検察事務官の椎名幸太。2022年秋クールドラマ「silent」(フジテレビ系)でも注目を集めた鈴鹿にインタビューを行った。長澤とは「ドラゴン桜」(2021年、TBS系)以来の共演となり、「長澤さんに引っ張っていただいて椎名という役が演じられた」と振り返る鈴鹿が、本作を演じる中で感じたこととは。また、撮りおろし写真多数のスペシャルギャラリーも併せて公開中だ。
若い世代に響くとしたら椎名の言葉
──最初に、映画『ロストケア』の脚本を読んだ感想を聞かせてください。
もちろん介護が大きなテーマではありますが、正義のあり方についても描いている作品で。斯波(松山ケンイチ)のやったことが正義なのか、僕自身がどこに正義を感じるのかは、映像になってみないとわからないなと感じました。
──鈴鹿さんは、長澤まさみさん演じる大友検事の右腕として事件を解決していく検察事務官の椎名幸太役。「斯波のやったことが正義なのかどうか、映像になってみないとわからない」という中で、椎名という役をどう演じていったのでしょうか?
まずは数学が好きで、数字を見ると楽しくなる役どころは、監督さんからも言われていたので、そこは意識しました。あとは、椎名は大友検事による斯波の取り調べを客観的に見るポジションで、自分自身も揺れ動く。つまり大友検事と斯波が対峙する中で、一番観客と距離の近い役になるのかなと思いながら演じました。
──検察事務官という役どころの役作りはどのようにされていきましたか?
最初に検察についての資料をいただいて、それを読みました。でも役職よりも“誰といるか”が大切なんじゃないかなと思っていて。まだ検察事務官になってから歴はそこまで長くはないですが、決して臆病なタイプではないと思ったので、大友検事の下で動きながらも、前に出られるときは前に出て行くタイプかなと思いながらお芝居しました。先ほども言った通り、観客に近しい存在であり、若い世代でもあるので、自分とリンクさせ過ぎると危ないけれど、自分たちの世代に響くとしたら椎名の言葉だろうなとも思っていて。特に大友検事と椎名が話す雨のシーンは、椎名の言葉で観客に何かを伝えられる場面なんじゃないかなと思ったので、自分に近付けつつ、でも決して“自分の言葉”にならないようにとバランスを取るのが難しかったです。
長澤さんに引っ張ってもらって椎名という役が演じられた
──今回は長澤さんと一緒のシーンが多かったと思いますが、現場で長澤さんとはどのように過ごされましたか?
撮影のときは大友検事としていらっしゃいましたけど、オフのときはいつもの優しい長澤さんで。いろいろなお話をしました。日曜劇場『ドラゴン桜』以来、1年ぶりくらいにお会いしたので「懐かしいね」とか、「乾燥する季節だけど、ケアは何が良い?」みたいな。健康管理の話が多かったですね。
──お芝居で対峙してみていいかがでしたか?
『ドラゴン桜』のときは先生と生徒でしたが、今回は部下と上司という関係性で。僕自身、距離感をどうやって測っていけばいいのかなと思っていたんですが、長澤さんはオンとオフの切り替えがすごく早くて。全部引っ張っていただいた感じがありますね。長澤さんに引っ張っていただいて椎名という役が演じられたと思います。
──特に印象的なやりとりを挙げるなら?
僕が涙を流すシーンは、その前のシーンと涙を流すシーンを別々に撮影したんです。それもあって難しかったのですが、実際にその場で松山(ケンイチ)さんが、その前のシーンのナレーションを言ってくださって。OKが出たときに松山さんと長澤さんが「よく頑張ったね」と言ってくれました。しかも、この間舞台挨拶でお会いしたときに、お二人ともそのシーンのことを覚えてくださっていて。お二人ともすごく優しい先輩です。
TCエンタテインメント
発売日: 2023/08/25