コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、カレー屋での出来事をきっかけに一歩踏み出す女性の物語を描く『もやもや社畜OLと勇気のマサラカリー!』をピックアップ。
作者の福々ちえさんが2月21日に本作をTwitterに投稿したところ反響を呼び、1.3万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、福々ちえさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについてを語ってもらった。
お気に入りのカレー屋で揉め事が…OLの勇気ある言動に反響「うるうるした」
OLとして日々必死に働く女性の唯一の楽しみは、平日のランチタイム。お気に入りのカレー屋で、スパイス強めのチキンマサラカリーを味わいながら会社で溜まった“もやもや”を押し流していると、後ろの席で男性客の怒号を耳にする。サラリーマンに怒鳴られ、突き飛ばされる若い男性。それを見た女性は、勇気を振り絞って「大丈夫ですか?」と声を掛ける。しかし、男性から返ってきたのは予想外の暴言だった。女性はショックと恥ずかしさでいたたまれなくなるも、周りのあたたかいフォローと店員の優しい言葉、そして自ら一歩を踏み出せた勇気を振り返り、優しい気持ちで満たされたのだった。
ランチを終えて職場に戻ると、上司から叱責され続けて食事もろくにとれない後輩の姿が。これまで同じ状況に何度も遭遇しながら、後輩に対して何もできずにいたことを後ろめたく感じていた女性は、ついに上司に対して声を上げ…。
カレー屋での揉め事をきっかけに、女性が勇気を出して一歩踏み出す姿を描いた本作。Twitter上では「胸熱っ!」「うるうるした」「素敵な漫画」「心がホッとした」「勇気を出すって素晴らしい」「カレーは世界を幸せにする」「いま猛烈にスパイスカレー食べたい」など、読者からのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
「“正しさ”を揺さぶられる瞬間をマンガに」作者・福々ちえさんが語る創作の裏側とこだわり
――『もやもや社畜OLと勇気のマサラカリー!』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
今回のエピソードは、私の実体験をもとに作りました。昼間の駅で揉めてる人たちを見たんですよね。サラリーマンの方が、同じくサラリーマンの方の襟首を掴んで叫んでいて。「何事!?」と思ったと同時に、“私これ見なかったことにして通り過ぎていいのかな”と自問自答しました。
こういう自分の「正しさ」を揺さぶられる瞬間ってあるなぁ、と。それをテーマに作ったマンガが、今回の『もやもや社畜OLが、スパイスカレー食べて元気になる話』です。
――福々ちえさんが本作を描く上でこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントはありますか?
もちろん、カレーを食べるシーンです(笑)!私もスパイスカレーが大好きで、元気になりたい時に行くお店があるんです。その時の気持ちをリアルに漫画にしてみました。ぜひご覧ください。
――本作の中で、福々ちえさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
好きなシーンとしては、店内が拍手につつまれる場面でしょうか。決めていたあらすじではなく、自然と出てきた成り行きだったので、描いていて自分でも笑ってしまいました(笑)。
――本作の続編である『仕事のできる女と怒りのバターチキン』では、本作と同じシチュエーションでの出来事を別の人物からの視点で描いた作品となっています。このような構成にした理由や、2つの作品に込めた思いがあればお教えください。
たまたま同じ店にいた女性を、視点を変えて漫画にしたのは、より現実世界をやさしく受け止めてもらえらた、との思いからです。2作目は、1作目と違っていわゆる「嫌な女」を主人公にしました。同じくカレーを食べて奮起したはずが、逆に自分を追い込む事態になっちゃって…と受難が続きます。
こんな風に、人間にはひとりひとりドラマがあるんですよね。たまたま隣り合わせた、同じ場所にいた、すれ違った。そんな人達にも、それぞれ葛藤やドラマがあると想像できれば、世界がやさしく思えるかなぁ…なんて思っています。
――福々ちえさんはこれまでに『稼いだら幸せになれると思ってた』(オーバーラップ)や『やさしさに溺れる』など、実際の見聞や体験をもとにしたエッセイや創作物語を多く描かれていますが、創作活動全般においてのこだわりや特に意識している点があればお教えください。
私の漫画テーマは「人間のトリセツ」なんです。自分が嫌いだと思う人でも、結婚していたり友達がいたりしますよね?それってとても不思議で、興味深いことで。つまり、自分が嫌っているのはその人の一面でしかない、ということなんだと思うんです。
だから漫画では、なるべく人の表と裏を描いています。私は人間が一番おもしろくて興味深いので、どうぞ一緒におもしろがってください(笑)。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
これからも、読んでくださる方が元気になるようなマンガを描いていきます。ブログ、Twitter、Instagramで更新していきますので、フォローしていただけると嬉しいです。
■作者ブログ(続編を掲載中):https://fukufukuchie.com/
■Twitter:福々ちえ [ @fukufuku_comic ]
■Instagram:https://www.instagram.com/fukufuku_comic/