俳優の菅田将暉が、4月5日に都内で開催された映画「銀河鉄道の父」(5月5日[金]公開)の完成披露試写会に、役所広司、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、成島出監督と共に登壇した。
映画「銀河鉄道の父」あらすじ
同作品は、第158回直木賞を受賞した門井慶喜の同名小説を映画化したもの。作品が世界中から愛されている宮沢賢治だが、生前の彼は無名の作家のまま37歳という若さで亡くなり、彼の才能を信じ続けた家族が賢治の作品を諦めずに世に送り続けたために、高い評価を得るようになったという事実に基づき、「賢治はダメ息子だった」という大胆な視点から、賢治への無償の愛を貫いた宮沢家の人々を描く。
質屋を営む裕福な政次郎(役所)の長男に生まれた賢治(菅田)は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、両親を振り回す。さらに、宗教に身をささげると東京へ家出してしまう。そんな中、賢治の一番の理解者である妹・トシ(森)が結核に倒れてしまう。
宮沢賢治を演じて変化した印象を語る菅田将暉
登壇した菅田は、初共演の役所から「宮沢賢治という役が菅田くん以外には思いつかないくらい合っている」と言われ、「恐れ多いです。僕は“役所広司狂”なので、本当にこんな幸せな時間はないっていう感じでした」と撮影を振り返った。
また、宮沢賢治の印象について「身近に感じました。家族として描かれている宮沢賢治像っていうのは見たことがなかったですし、童話作家であったり、作品のイメージしかなかったですけど、『身近に起こったことの心情を書いている作品が多いんだ』と感じてから作品を読むと、また全然違う印象を受けたので、彼の人間味に触れられたのが良かったです」と告白。
増えていく要求に苦笑いも達成感いっぱいの菅田将暉
そんな中、役作りについて聞かれた菅田は「言葉(花巻弁)もそうですし、チェロもそうですし、書く作業、お経の唱え方…。いろいろさせていただきました」と明かし、劇中でも実際に弾いたというチェロについて「何カ月か(練習を)やらせていただきました。最初は『指さえ動いていればいい』というくらいのオファーだったんですけど、『音、鳴るんだ。だったら音、使いたい』みたいな(笑)。そうしたら、『音はできるから、次は歌ってほしい』って。『え? チェロで弾き語りですか?』みたいな。現場で同録なんて、まあないんですよ。なかなか大変なので。でも、そんなトライもさせていただいて」と苦笑いしながらも達成感のある表情で語った。
◆取材・文=原田健