3月24日より公開中の映画「ロストケア」より本編映像が公開された。本作は、42人の老人を殺めた連続殺人の容疑者・斯波と彼を追い詰める検事・大友が対峙し、その真相に迫る社会派エンターテインメント。主人公の心優しい介護士・斯波宗典を演じたのは大河ドラマの主演をはじめ、映画、ドラマと数々の作品に出演する演技派俳優・松山ケンイチ。また斯波と対峙する検事・大友秀美を演じたのは日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、実力派俳優としても知られる長澤まさみ。本作で初共演を果たす2人の鬼気迫る演技や現代社会の闇を題材とした本作のテーマ性が見どころとなっている。
「ロストケア」あらすじ
ある朝、介護センターの所長・団元晴(井上肇)と、その介護センターの利用者である老人の死体が発見された。その事件を担当することになった検事の大友秀美(長澤)と検察事務官の椎名幸太(鈴鹿央士)が捜査を始めると、そのセンターの老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。さらに利用者の老人が死亡している日と出勤表のデータなどを照らし合わせ調査していくと、一人の介護士が捜査線上に浮かんで来た。その人物とは、センターで介護士として献身的に働く斯波宗典(松山)だった。
認知症の父親との繊細な絆を描く本編映像が公開
今回本編映像として公開されたのは、連続殺人犯の斯波が、かつて父・正作(柄本明)と暮らした日々を振り返る回想シーンとなっている。白髪交じりの斯波は検察室で「父に男手一つで育ててもらいました。今度は自分が父を守る番」と穏やかに語り始める。小さなアパートで片手に麻痺が残り不自由になった父の面倒をみることにした斯波。最初は一緒に折り紙をしたりと、穏やかな日々を過ごしていたが、正作の認知症が進むにつれて生活が少しずつ変わり始める。
徘徊するようになってしまった父を探すため、夜の街を必死に走ってまわる斯波。明け方になり、部屋着にサンダル履きの姿で公園のブランコに座る父を見つけ、全身で支えながら家へと帰っていく2人。愛しくもはかない父子の絆が丁寧に描かれ、胸が締め付けられる様な映像となっている。正作が四六時中介護が必要になると2人の生活は益々苦しくなり、介護の現実が親子に突きつけられる。困窮を極める日々の中で親子の絆は支えになるのか、逃れられない鎖となってしまうのか。そして、介護に苦しんだ自らの経験が斯波を殺人犯へと変えてしまうことになる。
このシーンに関して、松山は「父親役が柄本さんだったからこそできた」と長年の信頼関係あってこその演技だったことを明かした。また、柄本の怪演ぶりには「圧巻の演技に飲み込まれた」「息を吸うのも忘れるくらい衝撃的」と語った。