コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、作者・奈川トモさんの『化けタヌキの郵便屋さん』をピックアップ。
天国のママになりきった青年と少女がタヌキの郵便屋さんを通して手紙を交わす本作。奈川トモさんが4月1日に自身のTwitterに投稿したところ、1.2万以上の「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、奈川トモさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
"優しい"の連鎖…2人の優しさ溢れる行動に「心がほかほか」
ある日街で風船をもらった少女・美々子は、手紙をつけた風船は天使に届くと絵本に書いてあったことを思い出す。天国にいるママに手紙を届けようと風船につけて飛ばしたが、その手紙を拾ったのは青年・藤万だった。
藤万が手紙の返事に悩んでいると、化けタヌキがやってきてこの手紙の送り主を知っていると話す。そこで藤万は手紙の返事を美々子の元へ届けるようタヌキに頼んだのだ。タヌキの郵便屋さんから手紙を受け取った美々子だったが、返ってきた手紙がママの書いたものとは全く違うことに気付いてしまい…。
不器用な青年とまっすぐな少女、それぞれの優しさが心にしみると話題を集めている本作。Twitter上では「心が洗われる」「尊みがすごい」「幸せな時間」「優しさの連鎖」「優しい世界が広がっていく感じが、とってもいい」「ほわほわする、最高」などのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
「読み終えた後には少し元気が出たり心が軽くなったりするように意識」作者・奈川トモさんが語る創作背景とこだわり
――『化けタヌキの郵便屋さん』のお話を描こうと思ったきっかけや理由をお聞かせください。
このエピソードは、『お前、タヌキにならねーか?』(一迅社)に登場する藤万をもっと掘り下げたお話を作ろうと打ち合わせをしている際に担当さんから「文通をテーマにしたら面白いのでは」というヒントをいただいたことがきっかけです。
――本作では、不器用な優しさをもつ藤万とそれを素直に受け取る美々子の暖かさが心に響きます。それぞれのキャラクターはどのようにして生まれたのでしょうか。
美々子が初登場の回は遺された人と亡くなった人を繋ぐようなイメージで作らせていただいたお話です。もしも自分が死んだら遺された人に伝えたいことは何だろうと考えました。美々子は誰もが感じるかもしれない後悔を心に抱えながらも、共に前を向きたくなるようなキャラクターにしようと思い生まれました。
藤万につきましては作品の核になる話に大きく関わるキャラクターなので、回答を控えさせていただきますね。
――本作を描く上で、こだわった点や作品に込めた思いなどがあればお聞かせください。
藤万と美々子、それぞれ全く違った性格や生い立ちで接点など一生なさそうな二人なのですが、そんな二人がどこか似たような思いを抱えており思いがけず関係が築かれていく面白さなどを表現できればと思いました。
――奈川トモが描く作品は、思いやりや優しさがあふれるキャラクターばかりでハートフルな物語が多いようにお見受けします。創作全般において意識していることやこだわっていることなどはあるのでしょうか。
自分の作品の読者さんにはなるべく読後は気持ちの良いものをお届けしたいという思いがあります。物語は紆余曲折あったとしても、読み終えた後には少し元気が出たり心が軽くなったりするようにということは必ず意識しております。
――奈川トモさんは『お前、タヌキにならねーか?』や『陽だまりの棲み家』など動物と人間が共存する作品を多く手掛けていますが、今後描いてみたいテーマなどはございますか?
これまで表には出ていないのですが、特にこだわりなく様々なジャンルやテーマで物語を考えることは多くありました。ぼんやりと描きたいものは沢山あるのですが、あまり考えすぎないようにしています。描きたくなっても現状では手が回らないことがストレスになってしまうので…
今後新しく描くとしたら、今描いている作品とは雰囲気が違うものや、表現の幅を広げていきたいと考えています。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも応援していただきありがとうございます!物語は謎も多いままゆっくりと進んでいくので、もどかしいかと思いますが、作者も大変もどかしいです。早く色んなことを明らかにしたい気持ちを抑えつつ丁寧に描いていけたらと思いますので、これからものんびりと見守っていただけましたら幸いです。