豊のけなげな奥ゆかしさにほっこり
動物園に行くと駄々をこねる種。豊は機転を利かして、部屋にたくさんのぬいぐるみで“おうち動物園”を作る。これには種も大満足して笑顔になり、無邪気な笑顔にこちらも癒やされる。そして、「ゆかた、お弁当食べたい」と種がせがみ、昼前で少し早いが、3人でお弁当を食べることに。
種のお弁当には約束通り、タコさんウィンナーが入っていて、ご飯はぞうさん型にデコレーションされている。穣のお弁当にもタコさんウィンナーとご飯には海苔で「いつもありがとう!」の文字が。このために今日は5時起きと種明かしする豊に、「マジかよ!」と穣は驚いてとってもうれしそうに笑う。
穣のうまいという言葉に良かったと安心する豊。そんな豊のお弁当は白ご飯に卵焼きなど、穣と種のお弁当の残りを詰め合わせたようで、豊のけなげな奥ゆかしさにさらにほっこりとさせられる。3人でおいしそうに大事そうにお弁当を食べる様子に胸いっぱいになる。
種が寝てしまい、豊と穣は2人の時間を過ごす
食べて遊んで疲れたのか、ぬいぐるみに囲まれながら眠る種を前に、部屋で話をする豊と穣。豊は本当はお弁当を作ったことがないことを伝え、「食べてもらうまでドキドキだったけど、こうして好きな人においしいって言ってもらえるとやっぱりうれしいね」と言う。サラッと“好きな人”と言ってのける豊は小悪魔なんだろうか!? と聞いていて心臓が早鐘を打つが、驚いたのはこちらだけじゃないようで、穣も表情を変える。しかし、豊はつゆとも知らずににこにこと笑っている。
雨が上がって光が差し、種が目を覚ます。動物園に行こうと準備を始める傍らで、穣は豊の「好きな人」という言葉を満足げにかみ締めるのだった。
2人に喜んでもらおうと一生懸命お弁当作りをする豊がいじらしく、はしゃぐ種の安定のかわいらしさに頬がゆるむ。そして、豊に引かれていっている穣の思いが感じられて、飯テロにおなかが空きつつも胸はいっぱいになった。
◆構成・文=牧島史佳