コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、前科を持つ母親が子育てに奮闘する漫画『獄中出産した母と娘』をピックアップ。
作者の相田カンナさんが4月24日に本作を自身のTwitterに投稿したところ、8400件を超える「いいね」が集まり反響を呼んでいる。この記事では相田カンナさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
5年前に獄中出産をした女性は、出所を機に娘・葉月を施設に迎えに行った。しかし、葉月は「アンタなんかいらない」と言い、母を追い返すのだった。母が刑務所に入っているという理由でずっと葉月はいじめられていたようだ。
母はそれでも全てを受け入れ、葉月を抱きしめながら「もう離さないよ…!」とつぶやく。すると葉月は少しずつ心を開き始めたのだった。5年の月日が経ち、母は周囲に白い目で見られながらも子育てと資格の勉強に奮闘する日々。そんな母の頑張りに葉月がかけた言葉とは…。
娘のために自分のできることを懸命に頑張る母の強さが描かれた本作。心身ともに成長した葉月の言動にも注目が集まり、Twitter上では読者から「2人とも幸せになってほしい」「これは泣く」「母は強し」「子どもは親をよく見ている」「心に響いた」などのコメントが寄せられ反響を呼んでいる。
――『獄中出産した母と娘』のお話を描こうと思ったきっかけや理由があればお聞かせくだ
さい。
逆境に負けず、子育てに奮闘する母の姿を描きたいと思ったからです。
現代は出産後でも仕事と育児に追われる女性が増えているので、複数の仕事を日々懸命にこなす母親像を漫画で表現しようと着想しました。
――本作では、迎えに来た母に怒りをぶつけながらもどこか寂しそうな表情を浮かべる葉月をはじめ、登場人物の細やかな表情描写が印象的です。作画の際にこだわった点があればお聞かせください。
表情にはこだわりがあるのでそのように感じていただいたのは大変嬉しいです!作画のこだわりはあまりない方だと思うのですが、漫画を描く上で「今キャラはどんな感情でどんな表情をしているのか」というのは自分なりに噛み砕いて作画しています。
――本作の中で、相田カンナさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば理由とともにお聞かせください。
ラストの葉月が母を気遣える人間に成長した描写です。前半で劣悪な環境にいた反抗的な娘が、後半で母を認める唯一の理解者になれるまでを描けたところには思い入れがありました。
――相田カンナさんは本作以外にもさまざまな短編漫画を描かれていますが、これらの物語を創作する際、どのようなところから着想を得ているのでしょうか。
基本的には自分が好きなものかどうか、描きたいものかどうかを重視して描いています。アイディアは自分の中にあるものから出ている感覚が強いかもしれません。
元々かわいいもの、面白いもの、儚いものやドス黒い人間臭い部分なども「生きてる」という感じがして好きです。人の人生は完全な正解がないものですが、いろいろなキャラの人生観や生命感を漫画を通して楽しんでいただければと思いつつ、物語を作っています。
――創作活動全般において相田カンナさんがこだわっている点や特に意識している点があればお聞かせください。
コンセプトといいますか…始めにアイディアが出て、次に作品それぞれに反応や狙いを考えながら作っているのですが、自分の考えたイメージと反応にズレがあるかどうかを見ています。反応が薄かったらなんで薄かったのかな?と考えて作品に対する反応の精度を上げていけるよう意識しています。
作風以前に連載モノと短編モノだと作品のコンセプトや力の入れ方、反応もかなり変わってくるので、なるべく割り切るようにしていますが…SNSやネットは読者さんとの距離が近く、率直な意見などがもらいやすいので漫画の感想を受け取る場としてはかなり強いです。読者さんの声が作品を作る上での1つの助けになっていると思います。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
描いた作品からどのように感じてもらったのかを特に知りたいと思っているので、どんな意見でもありがたく頂戴しています。多くの方に自分の描いた漫画を読んでもらえることが何よりも嬉しいので、今後とも気軽に読んでくださると嬉しいです!
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