いつまでも遊び心がある役者さんが好きなんです
――映画「銀魂」では、キャストの皆さんも振り切った演技を披露していましたね。
「みんな『銀魂』が大好きなんですよね。(中村)勘九郎さんが素っ裸になるシーンは、最終的にモザイク処理をするので、本当に脱がなくてもいいと僕は思ってたんですけど、ご本人から『脱ぎます!』という申し出があって。すごくシリアスなシーンだから、照明もかっこよくセッティングして絶対に笑ってはいけない空気があったのに、柳楽(優弥)がガマンできずに噴き出して、何度もNGを出して…。3回目ぐらいのとき、さすがに『柳楽~っ!』って叫んだんですけど(笑)。でも、目の前に全裸の中村勘九郎がいるっていうシチュエーションは、そりゃつらいだろうなと思いますよ(笑)。とにかく、あのシーンは勘九郎さんの“銀魂愛”を強く感じました」
――(笑)。主演の小栗旬さんは、勘九郎さんの熱い思いに対して、何かおっしゃってましたか?
「その全裸シーンのときは小栗くんがいなかったので、あとでその話を伝えたら、『今後、続編があって服を脱ぐシーンが出てきたら、僕らも全裸にならないとダメだね』と。そういう本気のスタンスが『銀魂』への礼儀だという思いが、みんなの中に共通概念としてあったんでしょうね。そういう意味では、原作への愛がこもった作品になったのかなと思います」
――今回の「銀魂」でも、いわゆる“福田組”と言われるおなじみの顔触れが続々と登場しますが、常連の俳優さんたちの共通点はどんなところなんでしょうか?
「僕は、いつまでも遊び心がある役者さんが好きなんです。山田孝之や小栗旬は面白いことなら何でもやるというスタンスだし、『銀魂』で敵役を演じた堂本剛もそう。剛くんは、僕とはコミカルなものしかやってこなかったのに、いつもとは違うキャラクターをすごく楽しんで演じてくれましたから。そもそも、『何か面白そうだからやってみようかな』っていうノリで来てくれる役者さんじゃないと、僕の組では耐えられないと思うんですよ。実際、いろんなことをさせられるんで(笑)。
この前、ムロ(ツヨシ)くんたちと飲んでたんですけど、ムロくんがずっと『雄一さんはえらい!』って言ってくるんですよ。『雄一さんは、当たるものをやらないよね。当たる“かも”しれないものをやるよね。そこがえらい!』って。えらいかどうかは別として、確かにそうかもしれないなと思ったんです。だって、どう考えても『(HK)変態仮面』(2013年)っていうタイトルの映画が当たるとは誰も思わないじゃないですか(笑)。でも、その分、それが当たったときの喜びは大きいわけで。僕は子供のころ、プロゴルファーになるのが夢だったんですけど、昔から、ゴルフで一番ワクワクする瞬間は、林の中からピンそばに寄せるときだったんですね。フェアウェイから寄せても当たり前だけど、林の中から打って成功したらヒーローじゃないですか。その感覚からいまだに抜けきれてないんですよ。いわば、映画やドラマを作っているときも、常に林の中から打っている感じなんです(笑)」