コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“自分の存在に気づいてほしいキュートな妖怪”を描いた漫画『座敷わらしの複雑な想い』をピックアップ。
作者である漫画家のチャロスさんが、2023月5月21日に本作をTwitterに投稿したところ、1.3万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではチャロスさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
住人へのイタズラがことごとく失敗…
本作の主人公は人間…ではなく、座敷わらしの小さい女の子。彼女が住みつく部屋に新しく一人の男性が入居してきたことで、座敷わらしは彼にイタズラをして驚かそうと考える。
さっそく、丸めた紙を背後から男性に向かって投げつけたり、水道の蛇口をひねって水を勢いよく出すなど様々な作戦を決行。しかし男性は特に気にする様子もなく、一切微動だにしない。
ノーリアクションの彼を見て「なんなのコイツ…!?」と戸惑う座敷わらし。その後も窓を叩いたり“バナナの皮”でトラップを仕掛けたりするが、相変わらず無反応の状態が続く…。そしてついに心が折れた座敷わらしは、「…少しくらい反応してくれてもいいじゃん…」と泣き出してしまう。
そうこうしている間に男性は外出の準備をし始めため、彼女は留守の間に部屋を荒らすことを思いつく。しかし次の瞬間、男性は背を向けながら「留守番よろしくね」と言い残して部屋をあとにする。
その言葉を聞いた座敷わらしは「気づいてたんなら早く言いなさいよ!!」と怒りつつも、嬉しさのあまり再び泣き出すのだった――。
ツンデレで可愛らしい座敷わらしと、実は優しい住人とのやり取りが描かれた本作。ネット上では、「座敷わらしが子供っぽさ全開で愛おしい!」「ほっこりするストーリーで癒された」「一喜一憂する座敷童が尊い…我が家にも住みついてほしい(笑)」「“イタズラ”と言いながらも、本当は存在に気づいてほしかったんだよね。ラストシーンで思わずウルっときてしまった」など称賛のコメントが寄せられている。
作画の際には「納得のいく構図や表情が描けるまで何度も描き直ししています」
――『座敷わらしの複雑な想い』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
可愛い妖怪が描きたかったというのが一番です。「座敷わらしを見た者は幸福が訪れる」という伝承があるので。漫画に登場する人間だけじゃなくて、読者の皆様にもほっこりしたり、幸せな気持ちになってもらいたいなと思って題材に取り上げてみました。
――本作では、“自分の存在に気づいてもらいたい”という座敷わらしの女の子の言動がとてもキュートで、とても癒されました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
妖怪だけど、どこか人間らしさがあるのが特徴的かなと思います。人間の女の子みたいに嫉妬したり、褒められて喜んだり…。人間と距離感の近いキャラクターにして、「こんな子が家にいてくれたらな~」って思ってもらえるように意識して描いています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
第3話で主人から「ありがとう」って褒められる場面の座敷わらしですね。“こんなはずじゃなかったのに…でも褒められて嬉しいし…”といったように、いろんな感情が混ざって、どんな顔でいたらいいのかわからない、なんとも言えない感じが可愛いなって思います。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
身の回りに起きることや、存在しているものに対してとにかく疑問を持つことを意識しています。例えば、一人で生活している時に靴下に穴が空いたら普通は捨てるけど、「優しい誰か」がいたら穴を直してくれるかもしれない。それは人間じゃなくて動物だったり、妖怪だったりしてもいい。
「シンデレラが女子高生だったら…?」「彼氏が『だるまさんが転んだ選手権』の世界王者だったら…?」などと色々妄想したりメモしたりすることで、漫画にするネタを増やしています。
――チャロスさんの作品は、登場キャラクターの表情がとても丁寧に描かれているため、その時のキャラの感情などがとてもわかりやすく伝わってきます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
作画についてはまだまだ勉強中ですが、「言葉にしなくても絵だけで伝わる」ということを目標にして描いています。あと「このくらいの表情でいいや」と自分にブレーキをかけず、納得のいく構図や表情が描けるまで何度も描き直ししています。
――今後の展望や目標をお教えください。
目標は作品の書籍化・アニメ化です。コツコツ続けることが大きな結果に結びつくと信じて、あとは漫画を描くことを嫌いにならないようにずっと活動を続けていきたいですね。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも拙作を読んでいただきありがとうございます。これからも自分にしか描けない漫画を追求して多くの人に届けていきたいと思っているので、応援のほどよろしくお願いいたします。