――また近年は「東野幸治vs山里亮太」や「山里亮太の140」など、ライブイベントを精力的に開催しています。テレビの仕事が多忙な中、あえて「客前でのしゃべり」を重視する理由は何なのでしょうか。
今日の最終予選(取材は「第44回ABCお笑いグランプリ」最終予選時)を見ててもわかる通り、お笑い界って、面白い若手の子たちが毎年とんでもない数出てくる世界なんです。だからこそ、笑い声をどこかでちゃんと聞いていたくて。僕にとってライブでの笑い声は「お前も芸人やっていいんだよ」と許可される、ある種「免許の更新」のようなものなんですよ。その声を聞いていないと、怖くて「ABCお笑いグランプリ」の司会なんてできません。お笑いを毎日研ぎ澄ませている子たちの前に、お笑いの訓練もしない人間が仕切って回すなんて…と思ってしまうんです。
――今年で南海キャンディーズが結成20周年を迎えます。紆余曲折在りながらも、長く続けてこられた秘訣を教えてください。
一番大きい要因は、しずちゃんの器がデカすぎたことですかね。しずちゃん側からすれば、僕の悪行に耐えかねて、20年の間で切るタイミングが何回でもあったと思うんで(笑)。それでも切らずにいてくれて、今もなお「漫才がやりたい」と言ってくれているというのが、南海キャンディーズが続いている理由だと思います。
――この20年で相方との関係性はどう変わりましたか?
普通に仲良くなりました。オフィシャルでは、しずちゃんがオリンピックを目指してボクシングに打ち込んでいる時期に「私がボクシングを命がけでやっているのと同じように、山ちゃんは漫才に命がけだったんだ」と気付いたことがきっかけで関係性が変わった…とされているんですけど、東野(幸治)さんは「単純に山里が自分の仕事が充実したからだ」と(笑)。「仕事が充実して嫉妬心が減ったことを美談にしているのが気に入らない」とおっしゃっていましたね。
――20周年記念にやりたいことは?
相方がどうしても「単独ライブをやりたい」と言っているので、単独ライブをやるつもりです。
――最近では、山里さんとオードリー・若林正恭さんの半生を描いたドラマ「だが、情熱はある」(2023年日本テレビ系)が話題になりました。
僕も毎週見ているんですけど、森本慎太郎くんと高橋海人くん(※「高」ははしごだか)があまりにもすご過ぎるなと。僕らがまだ現役だからなのか、ドラマ化されてなんとなく恥ずかしい気持ちもありますが、見ているとあの頃の感情に戻れますし、初心に帰れるんですよね。
――現在46歳で、これから50代、60代と、芸人としてどんな年の取り方をしていきたいですか?
「何をされているんですか?」と聞かれたら、「芸人です」と答えられるような毎日を過ごしていければと思っています。芸人として常に何か取り組むべきことがあって、そのために、努力する日々を続けていきたいです。
――常に「芸人」であり続けたいと。
はい、それが一番理想です。
――では、理想の年の重ね方をしていると思う先輩は誰でしょうか。
身近で「この人すごいな」と思うのは、東野幸治さんですね。年を重ねて好きなことをやって、なんか知らないですけど、デニムのブランドとか作ったりしてますからね、あの人。あんなに好奇心が年齢とともに増していく人って、もう憧れでしかないです。芸人としてあんなにカッコいい先輩が近くにいるって、本当に光栄だなと思います。とはいえ、人間的にはあんまり尊敬してないですけど(笑)。
――最後に「ABCお笑いグランプリ」を楽しみにしている視聴者へメッセージをお願いします。
今一番新しい笑い、今一番熱量のある笑いが繰り広げられるはずなので、後々世に出てくる“原石”を見つけてみてください。そして僕はそういう人たちに媚びて、擦り寄っていきます!(笑)。
取材・文=小島浩平
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