無職になり、失恋して、帰る家も無くなった。それと傘がない。転んで道に倒れて立ち上がる元気もない失意のどん底にいる八重に傘をさしてくれる優しい人がいた。それが匠だった。
雨に濡れた服を乾かすために八重を家に招き、乾燥機をかけている間に今の仕事のことなどを話し、その中で匠は仕事に集中したいから結婚していないこと、仕事のために既婚者のふりをしていることも明かした。
八重も今の状況を匠に包み隠さず全てを打ち明けた。すると、匠は「バイトしねえ?」と提案する。その内容は「嫁。俺の。正確には嫁のふり」で、余っている部屋を自由に使えて、光熱費も生活費も匠が負担するという好条件・高待遇。
完璧に演じられないし、急に家を出て行ったらルームシェアの友人が困るからという理由で断る八重。「よくないよ。好きでもない相手とウソの結婚なんて。好きな人としなよ。本当の結婚」という本心も伝えた。
しかし、帰宅すると友人から恋人にプロポーズされたことを打ち明けられ、家を出ざるを得なくなってしまい、結局八重はバイトの話を受けることに。
八重は匠と幼なじみで、10年間会ってなかったけど何度か連絡を取ろうとした。小学生の頃に将来の夢「お姫様になること」を絵で描いた時のことを覚えていて、その時のことを今でも夢にまで見てしまうほどなので、たぶん好意を持ち続けてきたのだろう。
一方、匠は1年間も既婚者のふりをし続け、取引先の社長から逃れられない窮地に立たされた時に八重と10年ぶりに再会。話を聞くと、職を無くし、恋人にもフラれたばかりということで、“ウソの結婚相手として適任”だと判断。幼なじみを助けてあげることもできるということでバイトを持ちかけてみた。
そんなクールでビジネスライクな感じだと思っていたら、最後にどんでん返しが。バイトの話を断った八重から電話があり、「たっくんのために頑張ってみたい」とバイトを受けると伝えられ、「ま、いいよ。別に」と返事をした。電話を切って、一呼吸おいた後、「シャー! ッホー!」とベッドに倒れ込みはしゃぎ回る匠。
八重は匠の前で本心を隠して“ウソ”をついていたが、匠もウソをついていた。八重のことをずっと好きだったということを。将来の夢の絵も大事に保管していて、八重が相手のことを思って“ウソ”をつく性格だということも分かっていた。
ラストシーンの豹変(ひょうへん)ぶりで、一気に匠の印象が変わった。そして、10年ぶりの再会を含めて、いろんな“偶然”が重なったように見えたが、それらは匠が仕掛けた“必然”だったのでは? と思わせる展開となった。ウソつき同士、本心を隠しながらの半年間の“ウソ婚”を完遂できるのか? 今後の展開が気になるところだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)