コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・なるあすくさんの『やすらのキッチン』(GANMA!)第19・20話より「ラーメン屋とおじいさん」をピックアップ。
『やすらのキッチン』は、その人の“思い出の料理”を提供する不思議なキッチンカーが悩みを抱えるさまざまな人の元に現れ、思い出の料理を食べさせて前向きにさせていく…というオムニバス形式の物語だ。今回紹介する第19・20話では、毎回「まずい!」と言い残す年配客に悩むラーメン店の店主を主人公に描く。
作者のなるあすくさんが5月23日に自身のTwitterに投稿したところ、予想外の心温まる展開が話題を集め、5万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んでいる。この記事ではなるあすくさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
ほぼ毎日店を訪れる常連でありながら、ラーメンを食べた後に必ず「まずい!」と言って帰るおじいさん。店内の空気が悪くなることを店主も良く思っていないものの、経営が苦しいことからこんな客でも当てにしないとやっていけない状況に悩んでいた。
店主は、同じくラーメン屋を営む父親に「親父の店は古い」と啖呵を切って自身の店を開店。しかし、さまざまな客層を見込んだメニューやSNSでの宣伝などに力を入れても集客には繋がらず、アルバイトたちも続々と辞めてしまう。この状況に店主は何がダメなのかを自問自答するも、全く答えが出ないでいた。
翌日、再び訪れたおじいさんの「まずい」の言葉に思わず「俺のラーメンどこがまずいんだよ!」と強く当たる店主。しかし、おじいさんからは「自分で気づかんとなんにもならん」と返され、ついに限界を感じてしまうのだった。
そんな中、閉店後の店の前に珍しくキッチンカーが止まっているのを見つける。思い出の味を提供するというそのキッチンカーで父親のラーメンを食べることになった店主は、そこで忘れかけていた“大切なこと”に気づく…。
経営に悩む店主が、年配客の言動や父親の接客を通してある“気づき”を得る様を描いた本作。ラストシーンで描かれる店主とおじいさんのやりとりも話題を集め、Twitter上では「いい話」「心がぽかぽかする」「何度読んでも感動する」「接客の大切さがわかる」「沁みるなぁ」「また行きたいお店って接客も心地良いよね」など多くのコメントが寄せられている。
――「ラーメン屋とおじいさん」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
このお話は『やすらのキッチン』という作品の中の一つなのですが、このお話が世に出る前に『やすらのキッチン』は、この時点で既に人気が出ずに編集部から打ち切りを言い渡されてしまっていた作品でした。
この頃の自分の作品は可愛い女性が出ないと人気が出ないと思われていて、描くお話にも可愛い女性が出ないとネームのOKがもらえなかったりすることもあったのですが、当時打ち切りが決まっていたので「好きなように描かせてほしい」とお願いしてあえてこのお話だけは男性のみの出演にて構成したという経緯がありました。(可愛い女性を描きたくないというわけではありません。笑)
――ラーメン屋の店主と客のおじいさんの心温まるやりとりが反響を呼んでいる本作ですが、物語を創りあげていくうえでこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えてください。
見て欲しい部分と言うと、つい頑張って描かせていただいたお料理(今回で言うとラーメン)の部分ではあるのですが(笑)。
忙しい日々の中で、つい忘れていた「大事な何か」を見つけるヒントになるような物語づくりを連載当時はこだわっていたように思います。
――本作の中でなるあすくさんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
嫌っていたお父さんのラーメンをがっつくシーンでしょうか、頭では嫌がっていても、心がそれを求めていた…という部分を描きたかったので満足でした。
――本作が収録されている『やすらのキッチン』では、心温まるグルメヒューマンドラマがオムニバス形式で描かれ話題を集めています。あらためて見どころを教えていただけますでしょうか。
この作品では「自分が好きだったこと」「自分が大切にしていたこと」を思い出すきっかけにしてもらえたら嬉しいという想いで描かせていただいておりました。
もし今大変な目にあったり、つらい目にあったりしたときにその「思い出」が少しでも元気を出すことにつながれば幸いという想いもあります。
――なるあすくさんは本作以外にも『となりの遠距離恋愛』、『ベランピング! ~ベランダでキャンプしてみた~』(ともにGANMA!掲載)などさまざまなジャンルの漫画を描かれているのが印象的ですが、創作全般においてのこだわりがありましたら教えてください。
基本的にはそこまで嫌な人が出ません(嫌な人だったとしても理由があったりする…など)。または必ずハッピーエンドにするということも心がけております。
世の中の出来事は嫌なことやバッドエンドみたいなこともなかなか多いので、自分の作品上ではそういう思いをしてほしくないという気持ちもあります。
――Twitterのフォロワー数が間もなく10万人に達しそうです。なるあすくさんの今後の展望や目標、挑戦してみたいことがあればお聞かせください。
昨年フリーになってから、この1年でまさかフォロワーさんがフリーになる前の約14000から、まさか10万人にせまるほどに増えてもらえるとは思いませんでした。もし10万達成させていただいたら今度は15万人を目指せたらと思います。
また、いまは作品をkindleインディーズなどで無料で公開させていただいておりますので、より多くのかたにいっぱい楽しんでもらえるように頑張りたいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
おかげでさまフリーになってからとてもありがたい日々を送らせていただいております。そんな日々を送らせて頂けるのも、あたたかい応援をくださっている皆さんのおかげと常々思っております。
いつもいつも本当にありがとうございます…!!
これからもより楽しい作品をお届けできたらと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。
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