誤解が解けて崩れ落ちかける蒼真
藤子から、明確に避けられている雰囲気を感じ取った蒼真。ベランダに出たことがわかるよう大きめの音を立てて窓を閉めても、帰宅している藤子はいつものように顔を出さなくなった。
各所にしかけた監視カメラを眺め、隠し撮りした藤子の写真に映り込む男たちを黒塗りし、どんどんとフラストレーションを募らせていく蒼真。しかし藤子も、あくまで相手がいる蒼真に迷惑をかけないよう気遣っているだけ。寂しいすれ違いが続く。
ある日、後輩たっての願いで社員の有望株を落とすための飲み会に誘われる藤子。数合わせとして参加したのだが、そこには会社の先輩・坂本省吾(武田航平)の姿もあった。彼は上村のことも知っており、最近元気がない藤子のことを心配しているようす。帰り道で2人きりになると、直球で「あのさ、上村さんとなんかあった?」と聞いてきた。
藤子から事件の顛末を聞き、「なんでもっと早く言わなかったんだ」と叱る省吾。持ち前の明るい性格で藤子のことを励まし、「こんな風に2人で話すことあんまりなかったよな。楽しかった、ありがとな」と改まってお礼を告げる。そしてどこか思いつめた真剣な顔つきで、「蓬田…俺、俺さ…」となにかを言いかけたとき、近くから「藤子さん」と声がかかる。
声の正体は蒼真。「今日は遅かったんですね」と気さくに近づき、省吾とも「蓬田さんの隣に住んでいる、仁科です」と挨拶を交わす。目元には、そこはかとない威圧感が感じられる…。しかしそれ以上の言葉を交わすことなく藤子に向き直ると、「帰りましょう?」と声をかけてその場を後にした。
家に着く前、「あとで、ベランダで待ってます」と切り出した蒼真。「嫌ですか?」という問いに藤子が「嫌だなんて…」と答えるだけで、大きく安堵したような笑顔を見せる。そして2人がベランダで過ごす久しぶりの夜。そこで藤子の態度の原因が雑誌のインタビューだと知ると、蒼真は「それで…!」とがっくり首を落とす。
「彼女と過ごしている」というのは、嘘だったのだ。御曹司のイケメンであるため、声をかけられたり、待ち伏せされたりといったトラブルを避けるためについた方便。誤解が解けた2人は、藤子が買っていた棒アイスを一緒に食べることに。すっかり元の雰囲気に戻って楽しく会話したあと、藤子は改めて“癒やしのお隣さん”のありがたみに気づいたようだった。