2023年に入って出演作が相次ぎ、活躍が目覚ましい俳優・杉野遥亮。7月からは「ばらかもん」(毎週水曜夜10:00-10:54、フジテレビ系)で、ゴールデン・プライム帯(※夜7:00-11:00)の連続ドラマ初主演を務めている。ここまで着実に歩みを進めてきた杉野の魅力とは。(以下、出演作のネタバレを含みます)
杉野は2015年に「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でグランプリを獲得し芸能界入り。翌年のドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(日本テレビ系)で俳優デビューした。
そんな杉野は、記者会見やバラエティー番組でフリップに回答を書き込むときや、直筆サインなどで達筆ぶりをたびたび披露していた。青年書道家の成長を描く「ばらかもん」への主演第一報を聞いたときは、ぴったりだと感じたファンも多かっただろう。実際、同ドラマのビジュアル写真に描かれたタイトルは杉野の書き下ろしで、味わいある筆遣いに見惚れる。
字のうまさだけではない。第2話まで放送された段階で、視聴者から演技も高評価する声が寄せられている。杉野演じる半田清舟は、高名な書道家を父に持ち、若き新鋭として世間にもてはやされてきた。だが、「つまらない字」と批判されたことに激高してしまい、父親から長崎県の五島列島で生活して頭を冷やせと言い渡されるというのが物語の始まり。
プライドの高い都会っ子というと、ともすれば嫌味に見えてしまいそうだが、杉野が醸し出す真っすぐさと内にある優しさがいい塩梅で中和される。書道一筋に頑張ってきた清舟の挫折、葛藤に対し、島の人々の温かさが素直に糧になる様子が実に自然に見える。
ハートフルコメディーとして島民キャストたちと呼応する杉野のコミカルな間合いも見どころとなりつつ、成長過程を見せてくれるのが楽しみになっている。
2023年は、大河ドラマにも初出演中。徳川家康の「どうする家康」(NHK総合)で、のちに家康の最側近である“徳川四天王”の一人となる榊原康政を演じている。
初登場は第2話で、家康がまだ松平元康と名乗っていたころ。桶狭間の合戦後に逃げ込んだ大樹寺で責任感から自害しようとしていた元康の前に現れた。ひょうひょうとした様子ながら、その後に家康が軍の旗印に使うことになる言葉の意味を説くという大事なシーンで印象付けた。
同ドラマに出演した際のコメントで、「一般的に“役作り”と呼ばれるものはあまりしません。あえて言葉にするなら『その人を知る』というのが近いかもしれません。いかに繊細なところまで演じる役の感情を掘り下げられるか」と語っているが、感情を理解して表現しているから、他のキャラクターと呼応し、その場面を盛り立てる。
その大河と同時期スタートとなった草なぎ剛主演ドラマ「罠の戦争」(フジテレビ系)では、草なぎ演じる政治家となった鷲津の私設秘書に扮(ふん)し、キーマンの一人として草なぎとのやりとりに思わず見入る場面を作り上げるなど存在感を放った。また、2021年に公開された映画「東京リベンジャーズ」の続編「東京リベンジャーズ2」の前編が4月、後編が6月に公開。同映画で杉野は、北村匠海演じる主人公がタイムリープするきっかけを与えるという役だ。
出演作が途切れないだけでなく、いずれも物語で大事な役どころを任される期待の俳優となっていると分かる。
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