Hey! Say! JUMPの薮宏太が8月7日、都内で行われた「9月 新橋演舞場『ふるあめりかに袖はぬらさじ』」の製作発表記者会見に出席。稽古用の浴衣は近所の呉服屋で購入したことを明かした。記者会見には、大竹しのぶ、美村里江、風間杜夫、演出の齋藤雅文氏も登壇した。
1970年に発表された小説家・有吉佐和子著の短編小説「亀遊の死」を元に、1972年に作者自身によって戯曲化された同作品。物語の舞台は開港間もない横浜で、一人の遊女の死をめぐりうそと真実が交錯する模様を、個性的な登場人物と共に描いた。主演の大竹は芸者・お園を、薮は通訳として働く真面目な青年・藤吉を演じる。
今回が初めての時代劇となる薮は「何度も上演されてきた歴史のある作品の一人として参加できること、本当に光栄に思っております。毎日勉強させていただいている日々です。自分なりの藤吉を精一杯演じさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」と頭を下げた。
稽古用の浴衣を持っていなかったとのことで「『どこで売ってるんだろ』って必死に検索したら、家の近くに戦後すぐにできたような呉服屋があったんです」と言い、「『舞台のお稽古用に買いにきた』と言ったら、お店のご主人が『若い方が呉服屋に来る機会がないから、浴衣を着て稽古に臨むってだけでもうれしい』と喜んでくださって。帯はいいものを提供していただいたんですけど『今から頑張る若者だから』ってことで、すこし値切っていただきました」と打ち明けた。帯の結び方については「便利なもので、帯の結び方もYouTubeに出ているんですよね(笑)」と言い、笑わせた。
そんな藪が演じる藤吉は、花魁・亀遊(美村)と恋仲という役どころ。演じ方を聞かれると、6日に行った大人数での稽古での出来事を「亀遊さんが身請けされてしまうところがあって、亀遊さんが僕をすごく寂しそうで、少し怒りも混ざっているような眼光で見つめてくるんです。僕はそこで何もできない儚さ、でも辛いっていういろいろな感情が入り混じって、稽古が終わってその場でクラクラしてしまいました。そこまで考えながらやっているっていうのと、藤吉が激動の時代の中で恋が成就しない気持ちをこう捉えているんだなって。自分の知らない自分を発見することができて、びっくりしました」と紹介した。
また、主演の大竹とは今回が初共演。印象について「最初はすごく緊張していたんですけど、しのぶさんもこの作品を初めてやるということで『薮くんも初めてなんだよね』って仲間みたいな感じで言ってくださって。僕は大後輩なんですけど、同じ目線でいてくださることがすごく助かっています」と感謝した。
これに大竹は「本当に素直な若者です。クラっとしたという話を聞いて、余計に『いいぞ。もっとクラクラしろ!』って思いました(笑)」と笑顔を見せていた。
◆取材・文=大野代樹