――6月20日放送の「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)で、2人だけでのロケは「共演NG」だと明かしたことが話題になりました。その理由を改めて聞かせてください。
小峠:ある番組のロケに2人で行った時に、西村がボケの人間なのに、まったくボケなかったんです。仕方なく僕がボケたら、西村はツッコみもしない。これではロケとして成立しないと考えて、それ以来NGにしました(笑)。
西村:僕はそのことを、小峠がテレビで話しているのを見て知りました。「そうなの?どうりで最近、2人でのロケがないんだ」っていう感じでした。
――小峠さんはそうは言いつつも、22年5月放送の西村さんの冠番組「西村キャンプ場」(テレビ新広島)で、約6年ぶりにロケで共演していますよね。
小峠:いや、あれも実は最初、断ったんです。でも、「100回目だから」と頼まれて仕方なく出ました。
西村:もう200回目も来てくれる約束は得ましたから。これからも節目節目で来てもらう予定です。ただ「150回目も来てくれ」とお願いしたら、「スパンが短すぎる!」とさすがに拒否されましたけど(笑)。
――また小峠さんは、KOC優勝直後、自分だけがテレビに出るようになっても、日曜日だけは「西村の収入を稼ぐためバイきんぐで営業へ行く日にする」と空けていたという話を聞きました。
西村:いやほんと、「キングオブコント」優勝直後は、営業がなかったら食えてなかったですから。仕事が月に3本の営業しかないなんて時期もありましたし。でも当時は「小峠、よく一緒にやってくれるな」としか思っていませんでした。実際にそれで僕、助かりましたから。
――今年でコンビ結成から27年が経ちました。長い活動の中で解散しようと思ったことはありますか?
西村:ありますよ。僕らにはどの事務所にも所属していない期間が三年ほどあって。その当時、インディーズのライブに出たりはしていましたけど、特に何の目標もなく、希望も見えませんでした。この三年の間に、解散の話は3~4回ほど出たと思います。
――解散を踏みとどまった理由は何だったのでしょうか。
西村:“解散”に対して同じテンションじゃなかったからでしょうね。小峠が「ダメだ。もう解散しよう」と切り出した時には、僕は「まだいけるだろ」と説得する。逆に僕が「解散しよう」と言った時には、小峠が「まだいけるだろ」と押しとどめる。なので、もしもお笑いへの熱量が2人同時に下がっていたら、本当に解散していたかもしれません。
小峠:要するに「解散したい」の波がお互いちょうどズレてるんです。これが同じバイオリズムのコンビは、解散するんじゃないかと思っています。片方が「ダメだと思う」と口にして、もう片方も「俺もそう思う」と同意してしまえば、そのコンビは終わりですから。僕らはそのバイオリズムが、たまたまズレていたんです。
――では、30年近く一緒にいる中で、関係性が変わったということはありますか?
西村:特に変わらないです。
小峠:多少の言い合いはありましたけど、「あの時、仲悪かった」という期間もありません。だから、たまにテレビとかで仲が悪いコンビの話とか見たら「この状態でお笑いはできないな」と思いますもん。
西村:たしかになぁ。
小峠:この状態で一緒にお笑いやっていたんだ、舞台に立っていたんだってびっくりします。あんなに仲が悪い関係性で、ネタ合わせとかしんどいだろうなって思いますもん。
――単独ライブの話に戻りますが、今後も単独は継続して毎年開催したいと思いますか?
小峠:しばらくはやるんじゃないですかね。
西村:さまぁ~ずさんがずっと、単独ライブをやられているんです。あれを見ると「すごいな」と思います。本当に尊敬しますし、僕もお二人みたいにやり続けたいです。とはいえ、ネタを書いてくれる小峠次第ですが(笑)。
――小峠さんはネタを書き続けたいですか?
小峠:いや、書きたくないですよ。ネタを書くの嫌いですし、しんどいですし。ただ、やるんでしょうね。今「キングオブコント」の審査員を任せてもらっていますけど、ネタを現役で書いていないと、ネタの構成がどうだとか、ネタのフリがどうとか、全体的にどうだとか、おそらくあの場で何か言えないような気がするんです。単独ライブは年1回、4カ月くらい費やしますけど、この4カ月間はずっと頭を使っています。この脳みそをフル活用している期間が毎年定期的にあるからこそ、新しいコントをパッと見た時に、ネタの分析ができて、コメントが言えるんだと思うんです。
――なるほど。
小峠:僕は、ネタを書く能力が落ちるのが嫌なんです。「キングオブコント」で10年前に優勝した時のように、あそこまでヒリヒリするようなネタはもう書けないかもしれない。ただあの時、日本で一番面白いコントを書ける脳みそを持っていたわけだから、その能力がある程度衰えるのは仕方ないとしても、ガクンと落ちるのは嫌です。ネタを書くのはしんどいですけど、お笑いをやる上では必要なことだと思っています。
――最後に単独ライブを楽しみにしている方へ向けて、メッセージをお願いします。
小峠:今年も新ネタを9本くらいやるので、ぜひいらしてください。あとはグッズ。今回、初めて僕らが監修したので、お手に取っていただければ幸いです。
西村:去年は2回、今年は4回と、倍の公演数で、より多くの方に見てほしいです。
取材・文=小島浩平
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