「レトロスペクティブ 映像の魔術師/大林宣彦の世界」
10月7日(土)からは、「レトロスペクティブ 映像の魔術師/大林宣彦の世界」と題して、2020年に逝去した大林宣彦の数多ある監督作品の中から、珠玉の4本をオンエア。
大林が成城大学在学中に、プロデューサーでもある恭子夫人をヒロインに据えて制作した「絵の中の少女」は、絵の中に描かれた少女と、想い出の中に生きる少女が青年の心を戸惑わす悲恋を描く。大林は監督、脚本、撮影、編集、音楽、出演の1人6役をこなしている。
2014年に製作された「野のなななのか」は、北海道芦別市が舞台のヒューマンドラマ。風変わりな古物商を営む元病院長が他界したことを機に、散り散りに暮らしていた家族の面々が葬式のために戻ってくるが、常盤貴子演じる謎の人物が現れ、故人の人生に大きな影響を及ぼした戦争体験を通して、東日本大震災以降の日本再生の在り方を問うという内容だ。
「野のなななのか」「花筐/HANAGATAMI」へ続く“戦争三部作”の第1作となった「この空の花 長岡花火物語」は、1945年の悲劇“長岡空襲”と、日本3大花火大会の1つに数えられる“長岡まつり大花火大会”が時を超えて重なるという物語で、地方紙の新聞記者が、東日本大震災でいち早く被災者を受け入れた長岡市を訪れ、平和や復興を祈る市民たちが開催し続けている“長岡まつり大花火大会”の準備を取材するうち、人々の想いを知っていく様を描く。
この他、大林監督初の16ミリ短編自主映画「喰べた人」も放送。アイドルを大胆に起用した娯楽作から、平和への切なる願いを込めた繊細で美しい映画まで。生き様そのものを作品に込めた大林監督の思いに触れてみては。