全米きっての人気作家であるスティーブン・キングの作品を基に、ホラー界の気鋭ロブ・サヴェッジ監督、制作会社21ラップス・エンターテインメントのプロデューサー・チームが手掛けるホラー映画「ブギーマン」が配信中だ。同作には「スター・ウォーズ/オビ=ワン・ケノービ」での“ちびレイア姫”役で話題になったヴィヴィアン・ライラ・ブレアも出演しているが、その姉役を務める“目ヂカラ”の強い”美女が誰なのかご存知だろうか。この役者の名前は、ソフィー・サッチャー。2015年から活動を始め、近年ますます登場の機会を増やしている逸材だ。ホラー作品なのでセリフがドカドカ出てくる場面はないものの、彼女は目の力で存分に語る。本日10月18日に23歳の誕生日を迎えるソフィーについて紹介したい。
「ブギーマン」とは、簡単に言えば恐怖をもたらす謎の怪物のこと。欧米では割とポピュラーな存在らしい。日本式に考えると「なまはげ」「ぬらりひょん」「ぬりかべ」などからチャーミングなところを排除して、怖さを倍増した感じだろうか。もちろん放送中の連続テレビ小説「ブギウギ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)とは全く関係ない。「ブギウギ」とは、アメリカの黒人の間で発生し、第二次世界大戦後の日本で歌謡曲に取り入れられて流行した音楽の一分野のことである。
「ボバ・フェット―」出演で話題に
それはさておき、「ブギーマン」を見始めたら、恐らくかなりの確率でソフィーの目に引き込まれるだろう。その姿を見て「もしや?」と思った「スター・ウォーズ」ファンもいらっしゃることだろうが、スピンオフドラマ「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」(2021年)でドラッシュ役を、実に冷酷かつかっこよく演じていた役者である。
ソフィーは2000年、アメリカ・イリノイ州の大都市・シカゴ生まれ。本名はSophie Bathsheba Thatcherという。ミドルネームの“Bathsheba”は、古代イスラエルの王であるダビデの妻(ソロモンの母)バト・シェバにちなんだものだろうか。幼いころから教会の合唱団で歌い、4歳の頃には演技に関心を持つようになっていたようだ。2016年にはシカゴ警察の活躍を描くテレビドラマシリーズ「シカゴ P.D.」シーズン3の第11話「傷ついた家族」に、裕福な一家に生まれ育った14歳の娘・キャロライン役で登場。これがソフィーのデビュー作ということになる。
ほか「エクソシスト」のテレビシリーズで少女の頃のリーガン・マクニール役に取り組み、2018年には「PROSPECT プロスペクト」でスクリーン・デビュー。日本では、東京・新宿シネマカリテの特集上映で数日間上映されただけのはずだが、今は配信で視聴することができる。巨大なヘルメットをかぶったソフィーの奮闘ぶりが強く印象に残るSF作品だ。
幅広い役に挑戦し着実に知名度をアップ
2019年には「明日の恋の見つけかた」に登場。また、“高校の女子サッカーチームの乗った飛行機が墜落し、彼女たちは人影のない陸の孤島でサバイブする”という強烈な設定の下、2021年から始まったテレビシリーズ「イエロージャケッツ」のナタリー役(高校生時代)で一気に人気と知名度を上昇させることになった。
今後も彼女はさまざまなキャラクターに取り組んでいくことに疑いはなく、そのうちのいくつかは当たり役として、一生の俳優生活につきまとっていく可能性もある。それがスターのならわしである、といってもいいのかもしれないが、インタビューを見ると「特定の役柄にこだわりたくはない。その役柄は私自身ではないから。ただ、私は演じることはできる。もっともっと、幅を広げていきたい」とも語っている。
影響を受けた存在としてシャルロット・ゲンズブール(8月に初監督映画「ジェーンとシャルロット」が日本公開)、ナスターシャ・キンスキー、パーカー・ポージー、ロックバンド“ブロンド・レッドヘッド”の名を挙げるあたりにも、当たり前にはいかないぞ、自分が面白いと思ったものを自分の意志で追求していくんだ的な面白さを感じさせるし、ロックバンド“ペイヴメント”による「Harness Your Hopes」(2022年)のMVでの、1990年代風ファッションによる立ち居振る舞いも実にさっそうとしていた。
やはり役者をしている双子の姉エマ・サッチャーとも一層、良きライバル関係を築き上げていくことだろう。今後、どんなキャラクターに扮(ふん)するソフィーに出会えるのか。2020年代、30年代と、ずっとこのワクワク感が続いていく予感がする。
「ブギーマン」は、ディズニープラスのスターで見放題独占配信中。
◆文=原田和典
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/the-boogeyman/
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