本物の石田亜佑美はあまり面白くなかった?
――井上さん、弓桁さんは加入して約5か月。せっかく石田さんが同席されているので、2人の石田さんへの印象について教えてください。
弓桁:これ、石田さん本人にも話したんですが、加入前に動画で観ていた石田さんって、すごく元気で声も大きくて、場を回すまとめ役みたいに感じていたんです。でも、加入してみると静かなときも多くて、1人の時間も大切にされる方なんだというのを知りました。私もそういうタイプなので、似ている面があるからこそもっとお話ができたらいいなと思っています。
石田:言われたんですよ。「もっと面白い人だと思ってました」って。
弓桁:違う、違いますよ。そんな言い方じゃないですよー。
石田:案外つまんなかったのかな(笑)。でも、私って今まですごく真面目な人だと言われてきたんですよ。スタッフさんにも、ファンの方にもそういう印象を持たれている自覚はあって、そんな中で私のことを面白い人だと思っていたというのが意外でした。というか、そう言ってくれる人は初めてで、私はそれが面白くて笑っちゃいました。
――井上さんは石田さんの印象、どうですか?
井上:否定しない方だなと思いました。意見もそうですし、その人のことを。
――そう思う出来事が何かあったのですか?
石田:ハルさんは時がゆっくり進む子なんですよ。モーニング娘。が特にそうなのかも知れませんが、私たちって何事もせかせかしていて、「早く次に行くぞ!」みたいな感覚で動いているんですよね。だからハルさんはすごく大変そうに見えて。で、リハーサルとかは確かに「付いてきてね!」というのはあるんですけど、普段の私生活までも変える必要はないんだよって。ハルさんの体感速度で変わらずいてほしいと思って、そう伝えたんですよ。それのことかな?
井上:はい(ニッコリ)。
――そういった加入前に持っていたモーニング娘。の印象とのギャップ、加入して知った驚きというものはありますか?
井上・弓桁:……。
石田:めっちゃ考え込んでるね(笑)。私はあるよ。モーニング娘。なのにリハーサルをするんだって、それがびっくりでした。加入時の私(14歳)は何も分かっていなかったので、モーニング娘。になったらみんな踊れてみんな歌えるようになるんだと思っていて。努力というものがちゃんとあったんですね(笑)。
――それ、道重さゆみさんと同じです。
石田:え、そうなんですか? じゃあ、みんな思うことなんですね!
弓桁:私はそれでいうと、リハーサル期間の短さに驚きました。ミュージカル(バレエ)だと全パートが完成してからも遠し稽古が1か月は絶対にあったんですよ。それがモーニング娘。だと1週間あるかないかで完成させていって、スピードの速さに驚きました。
石田:最初は目が回るよね。しかも春夏秋冬、何かしらツアーやコンサートが入って止まることが全然ないからね。
12年一緒にいた仲間。12年の中での一番の変化
――譜久村さんの卒業について、今3人はどういう気持ちでいますか?
石田:今の段階では純粋に横浜アリーナ(卒業公演会場)という大きいステージに譜久村さんと立てることへのワクワクの方が大きいです。譜久村さんがリーダーになったときのモーニング娘。って、色々な壁にぶつかったんですよ。道重さんが卒業されたあとは子どもたちばかりという印象で、大人っぽい曲が似合わなくなったりして。その時期を一緒に乗り越えた人。で、フェスという外の大きい舞台に出るようになったときに、「頑張ろうね」って、一緒に乗り越えた人。私にとって譜久村さんはそういう存在なので、最後の横浜アリーナも、(今のメンバーにとって)2Daysという初めての経験を「また一緒に乗り越えましょうね」という気持ちで待っています。
――卒業の話はどのタイミングで知らされたのですか?
石田:具体的に“いつ”というのがないだけで、卒業への考えはお互い前々から話してはいました。それは卒業したいという話ではなく、10年活動しているキャリア的な意味で。なので改めて聞いたとき、驚きはしませんでした。寂しいなとは思いましたけど。
弓桁:私は1年前の譜久村さんの卒業発表があってから加入しているので、当時「え?」って驚いた分、今は冷静な気持ちです。いなくなってしまう不安はすごく大きいですけど、横浜アリーナに立つのは初めてですし、新しい曲もたくさん覚えないといけないので、卒業公演までにしっかりしないといけないという気持ちの方が大きいです。
井上:加入して、あっという間だなって…。やっぱり寂しいですけど、今の私は全然まだまだなので、緊張や自分に対する不安が大きすぎて実感が湧いていない感じです。
――譜久村さんと一緒にいた12年。石田さんが思う一番のモーニング娘。の変化はいつの時期ですか?
石田:15期(2019年、北川莉央15歳、岡村ほまれ14歳、山崎愛生13歳)の加入ですね。新メンバーが入ればいつの時期でも変化は起こりますけど、15期はすごく久しぶりの中学生で、特にほまれと愛生ちゃんは赤ちゃんみたいな印象だったんです。それがそのときのモーニング娘。には新鮮すぎました。グループの色が一気に明るく変わって、メンバーも年長者はお姉さん感が強くなって、年齢差のカラーがはっきりした。昔からあるモーニング娘。らしさを久しぶりに感じられた瞬間でしたね。
2024年に向けて。それぞれの目標
――譜久村さんの卒業公演を迎えると、2023年ももうすぐ終わります。新しい目標があれば教えてください。
弓桁:9月のハロー!プロジェクト25周年記念コンサートが終わったあと、譜久村さんから「お客さんにチケットを買っていただいて公演をしているんだから、それに見合うプロとしての自覚を持って頑張ろう」というお話をいただきました。そう考えたら今のレベルでは全く足りていないので、グループのレベルを下げないためにももっとしっかり責任感を持って頑張りたいです。
井上:私もパフォーマンスレベルを上げて、早くグループに馴染めるように頑張ります。それと、好きなもの、趣味を発信していって、ファンの皆さんと共有できるものを作りたいです。
石田:私は13年目の目標ですね。“楽しむ”ということを大事にしたくて、今年1年は何か選択が迫られたとき、それは楽しいか楽しくないかで選択してきました。それを踏まえて、来年は“私の楽しい”を広げて、ファンの方々と共有して、「皆さんも楽しいでしょ、私も楽しいよ」という世界に広げていきたいです。
取材・文・撮影:鈴木康道
UP-FRONT WORKS
発売日: 2023/10/25
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発売日: 2023/10/25