賢二が祐の隣に座って玲子に電話したか尋ねると「出ない。てか、電話番号変えられてた」と祐は言い、賢二は祐の背中を優しくさする。
「なんか変だなと思ってたんだよねぇ。部屋から物がどんどん減っていくしさ。でも、娘が大学生になったでしょ、新生活も始まるし、いろいろ処分してんだとばかり…」と祐が言うと、賢二が「誰か玲子さんの新しい連絡先知ってるよ」と慰める。しかし、祐は静かに首を振り「いいよ。だってここまで完璧にやるってことはさ、相当意志が固いってことでしょ」と言う。
賢二が「何言ってんの?ダメだよ、こういうと時かっこつけちゃ!泣いて縋るぐらいのことしなきゃだめ!」と言うと、祐は「そうだよなぁ。でも、できないんだよなぁ、俺。できないの分かってんだよ、玲子も。そういう俺だからこうなったんだよ」と言い、賢二は無言で肯定を表す。
「浮気ぐらいたいしたことないでしょって心のどこかで都合良く思ってたんだよね」と祐が言うと、「ほんと自分勝手だよね。実際、全部バレてたし。どんだけ玲子さん、傷つけてきたと思ってんの!」と賢二は諫める。
「ほんと何やってんだろうなぁ、俺」と祐が落ち込むと、賢二は祐の頭を抱え込む。「バカだなぁ」という祐の頭を賢二がペチンと叩くのだった。
祐は自業自得ではあるが、やるせない気持ちが胸に広がった。
◆構成・文=牧島史佳
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