「感動した小説の内容をできるだけ長く覚えておくには?」ぼる塾・あんりのお悩みを酒寄さんが解決【連載:酒寄さんちょっと聞いてくださいよ#35】

2024/01/05 18:00 配信

バラエティー コラム 連載

携帯電話で真剣に小説を読むあんり

ぼる塾」のリーダー酒寄希望が、メンバーの田辺智加あんりきりやはるかの相談に答える毎月連載「酒寄さんちょっと聞いてくださいよ」。第35回となる今回は、あんりから「素敵な小説の物語をなるべく長く記憶に残しておきたい」とのお悩み相談が。

===

素敵な小説の記憶を少しでも長く残しておきたい

みなさんこんにちは。ぼる塾の酒寄です。あけましておめでとうございます!今年もこの連載が続くように頑張っていきますのでよろしくお願い致します。

では早速新年一発目の相談に乗りたいと思います。

最近携帯のアプリで小説を読むことを覚えました!あんりです!!
素敵な小説に出会って、その物語をなるべく長い時間記憶に残しておきたい時ってどうしてますか?
感動したことの記憶が生活していく中で少しずつ薄れていくのが寂しくて!本好きの酒寄さんにアドバイスもらえたら嬉しいです!


ぼる塾の読書家あんりちゃんからの相談です。年末年始は読書を楽しんだ方も多いのではないでしょうか?

物語を長時間記憶に残しておく方法を私なりに考えたのですが、

繰り返し声に出して読む。

これに尽きるのではないでしょうか?私の人生を振り返った結果、記憶が必要になったのはテスト勉強と漫才コントの台詞暗記でした。私はそのどちらも繰り返し声に出して読むことで乗り切ってきました。ですから、私の中ではこの方法こそ記憶定着のベストであると思っています。しかし、ハリーポッターシリーズなど大長編の全巻を声に出して読むと絶対に喉を傷めると思うので、記憶する部分の取捨選択はしないといけないのかもしれません。

しかし、それでも人は忘れてしまう。

人間とは忘れる生き物です。私も最近、小学生時代一輪車に乗りながらでも余裕で歌えた【ポケモン言えるかな?】を歌おうとしたら、クサイハナ以降の歌詞が全く出てこなくてショックでした。おばあさんになってもそらで歌える自信がありました。それが35歳でもう歌えなくなっていました。もしかしたらもっと前から歌えなくなっていた可能性も…。

ですが、あんりちゃん。忘れることを悪だと思ってはいけません。【ポケモン言えるかな?】は繰り返し声に出して覚え直すとして、本の感動は最初の出会いがMAXであるとは限りません。同じ本でも、こちらの生活や年齢が変わるたびに前回とは違った感動をもたらしてくれるのです。佐野洋子さんや田辺 聖子さんの本など、学生時代に読んだ時と今読み直した時では全く違います。私自身、とくに酸いも甘いも噛みしめた恋愛経験を積んだわけではないのですが、それでも大人になったのか、学生の頃ではきっとわからない、悶えるポイントがあったりするのです。

最初の感動が薄れることは寂しいですが、思い出は何度でも作れます。本は一生の友達です。ですから少し忘れてしまう期間があっても大丈夫です。一番大事なことは感動した本を決して手放さないように気をつけることかもしれません。いま手元にある本がいつでも手に入ると思ったら大間違いですよ!その物語を抱きしめて離さないで!

…良い〆の言葉も飛び出して終わりそうでしたが、もうひとつ本の感動を忘れない方法を思い出したのでお伝えします。

それは、気に入った台詞を実生活で使用することです。

暮らしの中に小説の1フレーズを


気に入った小説の中の台詞を自分の暮らしに使うのです。私は江國香織さんの小説を読んでいる時、登場人物の知的な女性の台詞によく憧れを持ちます。

「道があると思うことがそもそも錯覚なのよ。人生は荒野なんだから」「ヒースクリフ?」妹は茶化す。「そうよ。嵐が丘」(ウエハースの椅子 江國 香織 )

この、「道があると思うことがそもそも錯覚なのよ。人生は荒野なんだから」という台詞があまりに格好良くてぜひとも使ってみたいと思いました。しかし、問題は誰に言う?長い付き合いの田辺さん(ぼる塾メンバー)とは何でも言い合う仲なので一番言いやすいのですが、果たして私が、「道があると思うことがそもそも錯覚なのよ。人生は荒野なんだから」そう言ったとして、彼女が

田 辺 「ヒースクリフ?」

そう返してくる可能性は限りなく0に近い!田辺さんの名誉のために言いますが、私が彼女に「やめられない止まらない」と言えば「かっぱえびせん」と即座に返してくれます。ですが、恐らく田辺さんは【嵐が丘】は通っていない!本人に確認はしていませんが断言できます。そういう私も【嵐が丘】は漫画「ガラスの仮面」で主人公のマヤが出演した舞台作品としてしか知りません。

酒 寄 「元ネタを知らずに台詞だけ言っても言葉に重みがないのでは?」

結局、この台詞は一度も使っていません。しかし、執着心から江國香織さんの物語は私の記憶に刻まれています。

あんり「実生活に使ってねーじゃねーか!それでアドバイスすんな!」

私の脳内のあんりちゃんに怒られました。その通りです。ですから今回は勇気を出して田辺さんに憧れの台詞を伝えて終わりたいと思います。

酒 寄 「道があると思うことがそもそも錯覚なんだよ。人生は荒野なんだから」
田 辺 「え?人生そんな重く考えない方がいいよ!」

田辺さんはとても良い言葉を返してくれました。最高!

【写真を見る】小説を読むあんりを何故かずっと真剣に見ている田辺さん