'17年春クールにかけて放送されたドラマを対象に開催した「週刊ザテレビジョン 第93回ドラマアカデミー賞」。
見事、最優秀脚本賞に輝いたのは「リバース」(TBS系)の奥寺佐渡子、清水友佳子の両氏。そんな奥寺氏にインタビューを敢行して、「二転三転する展開と、原作にないラスト」で湊かなえファンからも評価された作品作りについて聞いた。
試行錯誤を繰り返した“飽きられない”ための仕掛け
――最優秀脚本賞に選出されました。受賞のお気持ちをお聞かせください
とてもうれしいです。見て下さった皆さんと、スタッフ・キャストの皆さんに支えられての受賞だと思います。書くのに良い環境を与えてくれたチームと、原作の湊かなえ先生に心から感謝いたします。
――今作の脚本を書く上で、気を付けたことやこだわりなどを教えてください
「なぜ、広沢由樹は死んだのか?」という1つの謎を10話かけて解いていくので、途中で飽きられることのないよう、清水友佳子さんやプロデューサーの新井(順子)さんたちと何度も試行錯誤を重ねました。「リバース」のタイトルにふさわしく、毎話のラストに分かりかけていたことがひっくり返るような構成をめざしました。湊さんの原作は、お互い疑心暗鬼になるなど、人間関係の面白さも見どころです。連続ドラマならではのボリュームで、メインキャラクターそれぞれの成長と、関係性の変容を描きたいと思いました。
――「夜行観覧車」('13年)「Nのために」('14年、共にTBS系)に続く湊かなえ3部作の本作。湊さんの作品が原作であることへの思い入れを教えてください
同じ湊さんの作品といっても「夜行観覧車」では家族、「Nのために」では愛、「リバース」では友情と、浮かび上がってくるものが異なります。作品ごとに新たな気持ちで向き合えるのは、湊さんの原作が持つ多彩さや、引き出しの多さのおかげです。また、映像化したときに、よりドラマチックになる要素がたくさん秘められている原作なので、脚本家としてはぞくぞくするようなやりがいがありました。