7分30秒のノンストップアクションは制作期間も長かった!
――お二人にとって印象的だったシーンを教えてください
鈴木:やはり最後の9話、10話ですかね。金子(ノブアキ)くんがきてくれたおかげで締まりましたね。小栗くんも対金子くんとの表情はすごく良かった。あのこぼれる涙を見て、感情の作り方も尋常じゃないな、と思いました。それが、最後の最後に視聴者のみなさんにお伝えできて良かったです。あと、4話の小市慢太郎さんの演技もすばらしかったですね。最後の泣き笑いの演技なんて、そうそうできるものではないですよね。金城さんの本は、普通は助かろうだろうというところが全部逆になっているんです(笑)。なので、こちらも役者もさらっとやることはできなかったです。
白木:第8話の「神の光教団」に乗り込むところですね。今までドラマを撮ってきた中でも間違いなく一番大変なシーンでした。実は、7分30秒のノンストップアクションのシーンを作るのに、1カ月以上かかっているんです。ロケハンだけでも6回は行っていますし、その後のアクション稽古も特捜班メンバーだけで延べ2週間くらい、リハーサルにも2日間もかかっています。ただその分、現場では「きょうはとんでもないことが起きる」というキャスト、スタッフの一体感と緊張感が生まれていました。
――主演の小栗さんの印象やエピソードをお聞かせください。
鈴木:しっかり準備をして臨んでくれました。第1話の新幹線のシーンのアクションもリアルなスピードなんです。スピードの可変とかしていなくてあの速さだったので、現場では「これ、分かるかな?」と一度議論になったんです(笑)。でも、結果的に金城さん、笠置(弘置)プロデューサーも交えたミーティングで、「リアルなんだし、これでいこう!」となりました。
白木:特捜班のメンバーで、小栗さんよりも年下なのが新木優子ちゃんだけだったので「座長としてこんなに楽な現場はない」とおっしゃってましたけど、率先して現場の雰囲気作りをしてくださっていました。アクションに対する熱量もすごかったです。ただ、早朝に遊園地を走った第3話のシーンの時には「朝から走るのはきついよ~」と唯一こぼしていました(笑)。そのくせ、カメラと並走しなくてはいけないところでなぜかカメラを追い越したりするので6回くらい走ってもらいました。後で聞いたら「何か競争したくなったんです」って(笑)。
――最後に、この作品に携わって感じたことを改めてお聞かせください
鈴木:まず、この企画に呼んでもらえたことに感謝しています。信頼のおけるチームの中で「みんなと一緒に面白いものが作れるぞ」という気持ちが強かったです。毎日撮影に行くのにワクワクしました。この作品を通して、風通しの悪かったドラマ業界に少し風穴を開けられたかなと思っています。ドラマ作りの人たちに「WEBではなく、テレビもまだ面白いんだ」と勇気を与えられたんじゃないかな。
白木:殺伐としたドラマを作っている割にはすごく現場の雰囲気はよかったです。何より、「とんでもないものを作っている」「ドラマ業界に風穴を開けるんだ」とスタッフもキャストも共通して思っていたのが大きいと思います。この作品は、セリフが少ない中での演出や、全てが解決しないラストとか、昨今のドラマとは全く違うものでした。これまで連続ドラマをやってきて、どこかやり慣れてきた中での方法論のようなものがあったのですが、それが今回全部フラットになったと思います。それだけ新鮮な現場でした。今後続きがあるのかは分かりませんが、あの後特捜班がどうなっているのか、見届けたいですね。