女性社長と年下純情韓国男子の恋愛で十八番をひとひねり
日本ドラマでありながら、いま世界中を席巻している韓国ドラマの面白さを存分に取り入れている本作。SNSを見ると視聴者には韓国ドラマファンも多い印象で、実際に日本ドラマを見るのが久しぶりという声も見られた。
いわゆる“韓国ドラマあるある”というのは目新しい設定や展開ではないけれど、病みつきになってもっと欲してしまうもの。本作ではそんな“あるある”を見つけながらも完全オリジナル脚本で先の読めない展開への期待をもって楽しむスタイルが定着しつつある。
韓国ドラマで登場人物が社長であるというのは人気の設定だが、今回の場合はヒロイン側がその立ち位置であるというのが面白い。ちなみに民放GP帯連続ドラマにおいて、ヒロインの相手役で韓国人俳優が起用されるのは初めてのことだそう。
そんな快挙を成し遂げたチェ・ジョンヒョプは「わかっていても」に出演以来、注目度が急上昇していた期待の若手俳優だったが、本作の出演を機に日本での知名度も急上昇。テオと侑里はフードデリバリーサービスの注文者と配達員として出会うが、第1話エンディングで侑里の会社のインターンとしてテオがやってくることが明らかになり、今後は上司と部下に。主従関係によるドキドキの恋の予感も感じさせる。
ファンタジック・ラブストーリーを超えた見応え
韓国ドラマの魅力の一つは、ジャンルを超えたメッセージ性の強さ。例えばラブコメディだとしても、決して“仲良く結ばれて幸せに暮らしました”だけでは終わらず、貧富の格差や外見至上主義への警鐘など、社会問題にも一石投じるようなテーマが盛り込まれていることが多く、その見応えに世界中のエンタメファンが惹かれている。
本作では、環境問題に対する意識がキーワードのひとつ。侑里が社長を務める「Dolce & Chocolat.」も廃棄カカオを使用してチョコレートやコーヒーなどを作る環境に配慮した会社であることや、テオも絶滅危惧種のラッコを研究する学生だったりと、二人を結ぶ大切なカギを握っている。
演じる二階堂も環境問題や動物愛護へ高い関心を持っていることで有名。キャストの思いがこもった演技に注目したい。
伏線回収も韓国ドラマの楽しみのひとつだが、本作でも散りばめられた伏線に興味津々。侑里が心の声を読むことができる特別な力を得るきっかけになった出来事は既に明かされたものの、水中によぎる影や、船上で双眼鏡をもつ手が映し出されたりと、まだまだ秘密が隠されている予感。
チェ・ジョンヒョプが見せる直球の優しさやかわいらしい日本語、二階堂の透明感溢れる魅力と等身大の演技はもちろんのこと、今後の見応えも期待させる第1話になった。
◆文=KanaKo